2 調査結果の概要
- 食料について
(1) 国産品と輸入品の選択
食料品を買う際に,国産品と輸入品が並んでいる場合,どちらを選択するか聞いたところ,「国産品(小計)」と答えた者の割合が81.9%(「国産品」64.9%+「どちらかというと国産品」17.0%),「輸入品(小計)」と答えた者の割合が0.4%(「どちらかというと輸入品」0.2%+「輸入品」0.2%),「特にこだわらない」と答えた者の割合が16.5%となっている。
都市規模別に見ると,「国産品(小計)」と答えた者の割合は郡部・人口10万人未満の市で,「特にこだわらない」と答えた者の割合は3大都市圏で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「国産品(小計)」と答えた者の割合は女性で,「特にこだわらない」と答えた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
性・年齢別に見ると,「国産品(小計)」と答えた者の割合は女性の30歳代から60歳代で,「特にこだわらない」と答えた者の割合は男性の20歳代から40歳代と女性の20歳代で,それぞれ高くなっている。(図1)
職業別に見ると,「国産品(小計)」と答えた者の割合は家族従業者,主婦で,「特にこだわらない」と答えた者の割合は管理・専門技術・事務職,その他の無職で,それぞれ高くなっている。(表1)
ア 国産品を選択した基準
「国産品」,「どちらかというと国産品」と答えた者(2,924人)に,輸入品より国産品を選択した基準はなにか聞いたところ,「安全性」を挙げた者の割合が82.0%と最も高く,以下,「新鮮さ」(57.3%),「品質」(42.3%),「おいしさ」(27.6%)などの順となっている。(複数回答,図2)
都市規模別に見ると,「新鮮さ」を挙げた者の割合は地方圏で高くなっている。
地域ブロック別に見ると,「新鮮さ」を挙げた者の割合は北海道で,「おいしさ」を挙げた者の割合は東山で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「安全性」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
性・年齢別に見ると,「安全性」を挙げた者の割合は女性の30歳代から50歳代で,「品質」を挙げた者の割合は女性の30歳代で,「おいしさ」を挙げた者の割合は女性の50歳代で,それぞれ高くなっている。
職業別に見ると,「安全性」を挙げた者の割合は主婦で,「品質」を挙げた者の割合は管理・専門技術・事務職で,「おいしさ」を挙げた者の割合は家族従業者で,それぞれ高くなっている。(表2,参考表)
イ 輸入品を選択した基準
「輸入品」,「どちらかというと輸入品」と答えた者(14人)に,国産品より輸入品を選択した基準はなにか聞いたところ,下表のとおりとなっている。(複数回答,表3)
ウ 食料品選択の基準
「特にこだわらない」と答えた者(588人)に,食料品を選択する基準はなにか聞いたところ,「新鮮さ」を挙げた者の割合が66.2%,「価格」を挙げた者の割合が58.7%と高く,以下,「安全性」(40.5%),「おいしさ」(39.8%),「品質」(36.6%)などの順となっている。(複数回答,図3)
性別に見ると,「新鮮さ」,「価格」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「新鮮さ」を挙げた者の割合は40歳代で高くなっている。(表4)
(2) 外国から食料品を輸入することについて
外国からいろいろな食料品を輸入していることについてどう考えるか聞いたところ,「安全性についての不安がある」と答えた者の割合が46.6%と最も高く,以下,「選択の自由が広がる」(21.0%),「外国産との競争で値段が安くなる」(17.2%),「国産のものが少なくなる」(10.5%)の順となっている。
都市規模別に見ると,「安全性についての不安がある」と答えた者の割合は郡部・人口10万人未満の市で,「選択の自由が広がる」と答えた者の割合は3大都市圏で,それぞれ高くなっている。
地域ブロック別に見ると,「安全性についての不安がある」と答えた者の割合は九州で,「選択の自由が広がる」と答えた者の割合は関東で,「外国産との競争で値段が安くなる」と答えた者の割合は近畿で,「国産のものが少なくなる」と答えた者の割合は東北,四国で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「安全性についての不安がある」と答えた者の割合は女性で,「選択の自由が広がる」,「外国産との競争で値段が安くなる」と答えた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
性・年齢別に見ると,「安全性についての不安がある」と答えた者の割合は女性の40歳以上で,「選択の自由が広がる」と答えた者の割合は男性の20歳代から40歳代と女性の20歳代で,「外国産との競争で値段が安くなる」と答えた者の割合は男性の20歳代から60歳代で,「国産のものが少なくなる」と答えた者の割合は男性の70歳以上で,それぞれ高くなっている。(図4)
職業別に見ると,「安全性についての不安がある」と答えた者の割合は家族従業者,主婦で,「選択の自由が広がる」,「外国産との競争で値段が安くなる」と答えた者の割合は管理・専門技術・事務職で,「国産のものが少なくなる」と答えた者の割合は自営業主,家族従業者で,それぞれ高くなっている。(表5)
(3) 我が国の食料自給率が40%であることについて
我が国は外国からいろいろな食料品を輸入している。その結果,我が国の「食料自給率」は,現在カロリーベースで約40%となっているが,このことについてどのように思うか聞いたところ,「低い(小計)」と答えた者の割合が52.8%(「低い」32.9%+「どちらかというと低い」19.9%),「高い(小計)」と答えた者の割合が10.8%(「どちらかというと高い」6.9%+「高い」3.9%),「妥当な数値である」と答えた者の割合が19.8%となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合は16.6%となっている。
都市規模別に見ると,「妥当な数値である」と答えた者の割合は3大都市圏で高くなっている。
地域ブロック別に見ると,「低い(小計)」と答えた者の割合は四国で,「妥当な数値である」と答えた者の割合は関東で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「低い(小計)」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
性・年齢別に見ると,「低い(小計)」と答えた者の割合は男性の40歳代,50歳代で,「高い(小計)」と答えた者の割合は女性の50歳代で,「妥当な数値である」と答えた者の割合は男性の20歳代で,それぞれ高くなっている。(図5)
職業別に見ると,「低い(小計)」と答えた者の割合は管理・専門技術・事務職で,「妥当な数値である」と答えた者の割合は労務職で,それぞれ高くなっている。(表6)
(4) 我が国の将来の食料供給について
我が国の将来の食料供給についてどのように考えるか聞いたところ,「不安がある(小計)」と答えた者の割合が78.4%(「非常に不安がある」26.6%+「ある程度不安がある」51.8%),「不安はない(小計)」と答えた者の割合が18.5%(「あまり不安はない」16.6%+「全く不安はない」1.9%)となっている。
前回の調査結果(平成8年9月調査をいう。以下同じ。)と比較して見ると,「不安がある(小計)」(70.5%→78.4%)と答えた者の割合が上昇し,「不安はない(小計)」(26.2%→18.5%)と答えた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,大きな差異は見られない。(図6)
性・年齢別に見ると,「不安がある(小計)」と答えた者の割合は男性の50歳代と女性の40歳代,50歳代で,「不安はない(小計)」と答えた者の割合は男性の20歳代と女性の20歳代,70歳以上で,それぞれ高くなっている。
職業別に見ると,「不安がある(小計)」と答えた者の割合は自営業主,家族従業者,管理・専門技術・事務職で,「不安はない(小計)」と答えた者の割合はその他の無職で,それぞれ高くなっている。(表7)
ア 我が国の将来の食料供給について不安と考える理由
「非常に不安がある」,「ある程度不安がある」と答えた者(2,799人)に,将来の食料供給について不安があると考えるのは,どのような理由からか聞いたところ,「長期的に見て,地球環境問題の深刻化や砂漠化の進行などにより,食料の増産には限界があるため」を挙げた者の割合が48.6%,「異常気象や災害による内外の不作の可能性があるため」を挙げた者の割合が46.0%,「国際情勢の変化により,食料や石油等の生産資材の輸入が大きく減ったり,止まったりする可能性があるため」を挙げた者の割合が43.7%と高く,以下,「世界の人口が急激に増加する等により,食料に対する需要が大幅に増加するため」(31.1%)の順となっている。(複数回答)
前回の調査結果と比較して見ると,「異常気象や災害による内外の不作の可能性があるため」(55.0%→46.0%),「世界の人口が急激に増加する等により,食料に対する需要が大幅に増加するため」(36.9%→31.1%)を挙げた者の割合が低下し,「国際情勢の変化により,食料や石油等の生産資材の輸入が大きく減ったり,止まったりする可能性があるため」(38.4%→43.7%)を挙げた者の割合が上昇している。(図7)
都市規模別に見ると,「世界の人口が急激に増加する等により,食料に対する需要が大幅に増加するため」を挙げた者の割合は3大都市圏で高くなっている。
地域ブロック別に見ると,「国際情勢の変化により,食料や石油等の生産資材の輸入が大きく減ったり,止まったりする可能性があるため」を挙げた者の割合は中国で,「世界の人口が急激に増加する等により,食料に対する需要が大幅に増加するため」を挙げた者の割合は東山で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「長期的に見て,地球環境問題の深刻化や砂漠化の進行などにより,食料の増産には限界があるため」を挙げた者の割合は女性で,「国際情勢の変化により,食料や石油等の生産資材の輸入が大きく減ったり,止まったりする可能性があるため」,「世界の人口が急激に増加する等により,食料に対する需要が大幅に増加するため」を挙げた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「長期的に見て,地球環境問題の深刻化や砂漠化の進行などにより,食料の増産には限界があるため」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,「異常気象や災害による内外の不作の可能性があるため」を挙げた者の割合は40歳代で,「国際情勢の変化により,食料や石油等の生産資材の輸入が大きく減ったり,止まったりする可能性があるため」を挙げた者の割合は20歳代で,それぞれ高くなっている。
職業別に見ると,「長期的に見て,地球環境問題の深刻化や砂漠化の進行などにより,食料の増産には限界があるため」を挙げた者の割合は労務職,主婦で,「異常気象や災害による内外の不作の可能性があるため」を挙げた者の割合は家族従業者で,「国際情勢の変化により,食料や石油等の生産資材の輸入が大きく減ったり,止まったりする可能性があるため」を挙げた者の割合は自営業主,管理・専門技術・事務職で,「世界の人口が急激に増加する等により,食料に対する需要が大幅に増加するため」を挙げた者の割合は自営業主で,それぞれ高くなっている。(表8,参考表)
(5) 我が国の食料生産・供給のあり方
我が国の食料の生産・供給のあり方についてどのように考えるか聞いたところ,「外国産より高くても,食料は,生産コストを引き下げながら,できるかぎり国内で作る方がよい」と答えた者の割合が43.6%,「外国産より高くても,少なくとも米などの主食となる食料については,生産コストを引き下げながら国内で作る方がよい」と答えた者の割合が40.6%と高く,以下,「外国産の方が安い食料については,輸入する方がよい」(10.5%)の順となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「外国産より高くても,少なくとも米などの主食となる食料については,生産コストを引き下げながら国内で作る方がよい」(37.5%→40.6%)と答えた者の割合が上昇している。
性別に見ると,「外国産より高くても,食料は,生産コストを引き下げながら,できるかぎり国内で作る方がよい」と答えた者の割合は女性で,「外国産の方が安い食料については,輸入する方がよい」と答えた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。(図8)
性・年齢別に見ると,「外国産より高くても,食料は,生産コストを引き下げながら,できるかぎり国内で作る方がよい」と答えた者の割合は女性の50歳代で,「外国産の方が安い食料については,輸入する方がよい」と答えた者の割合は男性の20歳代から40歳代で,それぞれ高くなっている。
職業別に見ると,「外国産より高くても,食料は,生産コストを引き下げながら,できるかぎり国内で作る方がよい」と答えた者の割合は家族従業者で,「外国産より高くても,少なくとも米などの主食となる食料については,生産コストを引き下げながら国内で作る方がよい」,「外国産の方が安い食料については,輸入する方がよい」と答えた者の割合は管理・専門技術・事務職で,それぞれ高くなっている。(表9)
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