3.親権に対する考え方
(1) 親権についての認識
民法では、「親権」に関する規定があるが、「親権」とは、未成年の子を監督・保護することや、教育すること、その財産を管理することを内容とする。「親権」について知っているか聞いたところ、「知っている」とする者の割合が96.7%(「内容も含めて知っている」47.9%+「言葉だけは知っている」48.7%)、「知らない」と答えた者の割合が1.8%となっている。
性別に見ると、「知っている」とする者の割合は女性で高くなっている。(図5、表5(CSV形式:2KB))
(2) 婚姻中の親権についての認識
父母が結婚している間は、双方が親権者となるという現行の制度について知っているか聞いたところ、「知っている」と答えた者の割合が77.4%、「知らない」と答えた者の割合が21.2%となっている。
都市規模別に見ると、「知っている」と答えた者の割合は大都市で、「知らない」と答えた者の割合は小都市で、それぞれ高くなっている。
性別に見ると、「知っている」と答えた者の割合は女性で、「知らない」と答えた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。
性・年齢別に見ると、「知っている」と答えた者の割合は女性の30歳代、50歳代で、「知らない」と答えた者の割合は男性の18~29歳で、それぞれ高くなっている。(図6、表6(CSV形式:1KB))
(3) 離婚後の親権についての認識
父母が離婚した後は、いずれか一方のみが親権者となるという現行の制度について知っているか聞いたところ、「知っている」と答えた者の割合が89.4%、「知らない」と答えた者の割合が9.3%となっている。
性別に見ると、「知っている」と答えた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると、「知っている」と答えた者の割合は40歳代、50歳代で高くなっている。
性・年齢別に見ると、「知っている」と答えた者の割合は女性の40歳代、50歳代で高くなっている。(図7、表7(CSV形式:1KB))
(4) 離婚後の父母双方による養育への関与の考え方
父母の双方が、離婚後も子の進路などの未成年の子の養育に関する事項の決定に関わることは、子にとって望ましいと思うか聞いたところ、「どのような場合でも、望ましい」と答えた者の割合が11.1%、「望ましい場合が多い」と答えた者の割合が38.8%、「特定の条件がある場合には、望ましい」と答えた者の割合が41.6%、「どのような場合でも、望ましくない」と答えた者の割合が5.7%となっている。
都市規模別に見ると、大きな差異は見られない。
性別に見ると、「どのような場合でも、望ましい」と答えた者の割合は男性で、「特定の条件がある場合には、望ましい」と答えた者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると、「どのような場合でも、望ましい」と答えた者の割合は70歳以上で高くなっている。
性・年齢別に見ると、「どのような場合でも、望ましい」と答えた者の割合は男性の70歳以上で、「特定の条件がある場合には、望ましい」と答えた者の割合は女性の18~29歳、40歳代から60歳代で、それぞれ高くなっている。(図8、表8(CSV形式:2KB))
ア 離婚後の父母双方の関与が望ましくない場合
父母の双方が、離婚後も未成年の子の養育に関する事項の決定に関わることは、子にとって「望ましい場合が多い」、「特定の条件がある場合には、望ましい」と答えた者(2,226人)に、どのような場合に、父母の離婚後も双方が未成年の子の養育に関する事項を共同で決めることが、子にとって望ましくないと思うか聞いたところ、「別居親から子への虐待がある場合」を挙げた者の割合が80.8%と最も高く、以下、「父母の不仲や争いが深刻である場合」(66.1%)、「離婚した父母の一方が他方から、暴力を受けている場合」(65.7%)、「子が、父母の双方が共同で決めることを望んでいない場合」(60.9%)、「別居親の子を育てる能力に問題がある場合」(59.0%)などの順となっている。(複数回答、上位5項目)
都市規模別に見ると、「別居親から子への虐待がある場合」、「離婚した父母の一方が他方から、暴力を受けている場合」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると、「別居親から子への虐待がある場合」、「父母の不仲や争いが深刻である場合」、「離婚した父母の一方が他方から、暴力を受けている場合」、「子が、父母の双方が共同で決めることを望んでいない場合」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると、「別居親から子への虐待がある場合」、「離婚した父母の一方が他方から、暴力を受けている場合」を挙げた者の割合は18~29歳から50歳代で、「父母の不仲や争いが深刻である場合」を挙げた者の割合は30歳代、50歳代で、「子が、父母の双方が共同で決めることを望んでいない場合」を挙げた者の割合は18~29歳、30歳代、50歳代で、「別居親の子を育てる能力に問題がある場合」を挙げた者の割合は30歳代、40歳代で、それぞれ高くなっている。(図9、表9(CSV形式:3KB))
(5) 離婚後も父母双方が関与すべき事項
父母の離婚後も、未成年の子の養育に関する事項について、父母の双方が共同で決めることができる制度を導入した場合に、どのような事項について共同で決めるべきだと思うか聞いたところ、「子が大きな病気をしたときの治療方針」を挙げた者の割合が58.5%と最も高く、以下、「子の進路などを含む教育」(53.3%)、「子が住む場所」(32.4%)などの順となっている。なお、「父母が二人で決めるべき事項はない」と答えた者の割合が18.6%となっている。(複数回答、上位3項目)
性別に見ると、「子が大きな病気をしたときの治療方針」を挙げた者の割合は女性で、「子の進路などを含む教育」、「子が住む場所」を挙げた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。
性・年齢別に見ると、「子が大きな病気をしたときの治療方針」を挙げた者の割合は女性の50歳代から70歳以上で、「子の進路などを含む教育」を挙げた者の割合は男性の70歳以上、女性の40歳代で、それぞれ高くなっている。(図10、表10(CSV形式:2KB))