1.がん対策
(1) がんに対する印象
がんについてどのような印象を持っているか聞いたところ、「こわいと思わない」とする者の割合が26.8%(「こわいと思わない」15.4%+「どちらかといえばこわいと思わない」11.5%)、「こわいと思う」とする者の割合が71.8%(「どちらかといえばこわいと思う」34.2%+「こわいと思う」37.6%)となっている。
都市規模別に見ると、「こわいと思わない」とする者の割合は町村で、「こわいと思う」とする者の割合は大都市で、それぞれ高くなっている。
性別に見ると、「こわいと思わない」とする者の割合は男性で、「こわいと思う」とする者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると、「こわいと思わない」とする者の割合は70歳以上で、「こわいと思う」とする者の割合は18~29歳、30歳代で、それぞれ高くなっている。(図1、表1(CSV形式:1KB)、表1-参考1(CSV形式:1KB)、表1-参考2(CSV形式:1KB))
ア がんをこわいと思う理由
がんについて「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者(1,183人)に、がんをこわいと思う理由を聞いたところ、「がんで死に至る場合があるから」を挙げた者の割合が73.1%と最も高く、以下、「がんの治療や療養には、家族や親しい友人などに負担をかける場合があるから」(52.4%)、「がんそのものや治療により、痛みなどの症状が出る場合があるから」(46.7%)、「がんの治療費が高額になる場合があるから」(43.7%)などの順となっている。(複数回答、上位4項目)
前回の調査結果(平成28年11月調査結果をいう。以下同じ。)と比較してみると、大きな変化は見られない。
都市規模別に見ると、「がんそのものや治療により、痛みなどの症状が出る場合があるから」、「がんの治療費が高額になる場合があるから」を挙げた者の割合は中都市で高くなっている。
性別に見ると、「がんの治療や療養には、家族や親しい友人などに負担をかける場合があるから」、「がんそのものや治療により、痛みなどの症状が出る場合があるから」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると、「がんで死に至る場合があるから」を挙げた者の割合は18~29歳、30歳代で、「がんの治療や療養には、家族や親しい友人などに負担をかける場合があるから」を挙げた者の割合は40歳代で、「がんそのものや治療により、痛みなどの症状が出る場合があるから」を挙げた者の割合は50歳代で、それぞれ高くなっている。(図2、表2(CSV形式:2KB)、表2-参考(CSV形式:2KB))
(2) がん検診の受診状況
胸や胃のレントゲン撮影やマンモグラフィ撮影などによるがん検診が行われているが、こうしたがん検診を受けたことがあるか聞いたところ、「2年以内に受診した」とする者の割合が57.0%(「1年以内に受診した」47.5%+「2年以内に受診した」9.5%)、「2年より前に受診した」と答えた者の割合が13.6%、「今までがん検診を受けたことはない」と答えた者の割合が29.2%となっている。
前回の調査結果と比較してみると、「2年以内に受診した」(52.6%→57.0%)とする者の割合が上昇し、「今までがん検診を受けたことはない」(33.4%→29.2%)と答えた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると、大きな差異は見られない。
性別に見ると、「2年より前に受診した」と答えた者の割合は女性で、「今までがん検診を受けたことはない」と答えた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。(図3、表3(CSV形式:1KB)、表3-参考1(CSV形式:1KB)、表3-参考2(CSV形式:1KB)、表3-参考3(CSV形式:1KB)、表3-参考4(CSV形式:1KB)、表3-参考5(CSV形式:1KB)、表3-参考6(CSV形式:1KB)、表3-参考7(CSV形式:1KB))
ア がん検診を受けない理由
がん検診を「2年より前に受診した」、「今までがん検診を受けたことはない」と答えた者(705人)に、これまであるいは最近、がん検診を受けていない理由を聞いたところ、「受ける時間がないから」を挙げた者の割合が28.9%、「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」を挙げた者の割合が25.0%、「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」を挙げた者の割合が23.4%などの順となっている。(複数回答、上位3項目)
性別に見ると、「受ける時間がないから」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。(図4、表4(CSV形式:2KB)、表4-参考1(CSV形式:1KB)、表4-参考2(CSV形式:2KB)、表4-参考3(CSV形式:2KB))
(3) がんの治療法や病院に関する情報源
がんと診断されたら、がんの治療法や病院に関する情報について、どこから入手しようと思うか聞いたところ、「病院・診療所の医師・看護師や(※1)以外の相談窓口」を挙げた者の割合が66.4%と最も高く、以下、「インターネット・ツイッターやフェイスブックなどのSNS((※2)以外)」(36.9%)、「家族・友人・知人」(33.8%)、「がん相談支援センター(がん診療連携拠点病院の相談窓口)※1」(27.3%)などの順となっている。(複数回答、上位4項目)
前回の調査結果と比較してみると、大きな変化は見られない。
都市規模別に見ると、「がん相談支援センター(がん診療連携拠点病院の相談窓口)※1」を挙げた者の割合は中都市で高くなっている。
性別に見ると、「家族・友人・知人」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると、「病院・診療所の医師・看護師や(※1)以外の相談窓口」を挙げた者の割合は60歳代、70歳以上で、「インターネット・ツイッターやフェイスブックなどのSNS((※2)以外)」を挙げた者の割合は18~29歳から50歳代で、「家族・友人・知人」を挙げた者の割合は18~29歳、40歳代で、「がん相談支援センター(がん診療連携拠点病院の相談窓口)※1」を挙げた者の割合は18~29歳、30歳代、50歳代で、それぞれ高くなっている。(図5、表5(CSV形式:2KB)、表5-参考(CSV形式:2KB))
※1:がん相談支援センター(がん診療連携拠点病院の相談窓口)
※2:国立がん研究センターのウェブサイト「がん情報サービス」
(4) がんゲノム医療の認知度
がんゲノム医療について知っていたか聞いたところ、「知っていた」とする者の割合が40.4%(「よく知っていた」6.6%+「言葉だけは知っていた」33.8%)、「知らなかった」と答えた者の割合が59.0%となっている。
性別に見ると、大きな差異は見られない。
年齢別に見ると、「知っていた」とする者の割合は50歳代、60歳代で、「知らなかった」と答えた者の割合は18~29歳から40歳代で、それぞれ高くなっている。(図6、表6(CSV形式:1KB))
(5) がんの免疫療法に対する意識
がんの免疫療法についてどのような印象をもっているか聞いたところ、「医師から薦められたら、がんの免疫療法を受けたいと思う」を挙げた者の割合が35.9%と最も高く、以下、「効果は限定的だと思う」(23.0%)、「がんの免疫療法に関する情報は、どれが正確な情報か判断が難しいと思う」(20.0%)、「がんの免疫療法については知らなかった」(19.2%)、「手術や抗がん剤よりも効果があると思う」(17.8%)、「副作用があると思う」(16.3%)、「がんと診断されたら、まずがんの免疫療法を受けたいと思う」(14.1%)、「安全だと思う」(12.8%)などの順となっている。(複数回答、上位8項目)
都市規模別に見ると、「がんの免疫療法については知らなかった」を挙げた者の割合は小都市で、「手術や抗がん剤よりも効果があると思う」を挙げた者の割合は中都市で、それぞれ高くなっている。
性別に見ると、「医師から薦められたら、がんの免疫療法を受けたいと思う」を挙げた者の割合は女性で、「手術や抗がん剤よりも効果があると思う」を挙げた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると、「医師から薦められたら、がんの免疫療法を受けたいと思う」を挙げた者の割合は50歳代で、「効果は限定的だと思う」、「がんの免疫療法に関する情報は、どれが正確な情報か判断が難しいと思う」を挙げた者の割合は50歳代、60歳代で、「がんの免疫療法については知らなかった」を挙げた者の割合は18~29歳、30歳代で、「手術や抗がん剤よりも効果があると思う」を挙げた者の割合は60歳代で、「安全だと思う」を挙げた者の割合は18~29歳で、それぞれ高くなっている。(図7、表7(CSV形式:2KB))
(6) 緩和ケアを開始すべき時期
がんに対する緩和ケアはいつから実施されるべきものと思っているか聞いたところ、「がんと診断されたときから」と答えた者の割合が52.2%、「がんの治療が始まったときから」と答えた者の割合が21.7%、「がんが治る見込みがなくなったときから」と答えた者の割合が19.6%となっている。
前回の調査結果と比較してみると、「がんと診断されたときから」(56.1%→52.2%)と答えた者の割合が低下し、「がんが治る見込みがなくなったときから」(16.2%→19.6%)と答えた者の割合が上昇している。
都市規模別に見ると、「がんが治る見込みがなくなったときから」と答えた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると、「がんと診断されたときから」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると、「がんと診断されたときから」と答えた者の割合は18~29歳で、「がんが治る見込みがなくなったときから」と答えた者の割合は60歳代で、それぞれ高くなっている。(図8、表8(CSV形式:1KB)、表8-参考(CSV形式:1KB))
(7) 医療用麻薬に対する意識
医療用麻薬についてどのような印象を持っているか聞いたところ、「正しく使用すれば安全だと思う」を挙げた者の割合が48.3%、「正しく使用すればがんの痛みに効果的だと思う」を挙げた者の割合が47.5%と高く、以下、「最後の手段だと思う」(30.4%)、「だんだん効かなくなると思う」(26.8%)などの順となっている。(複数回答、上位4項目)
前回の調査結果と比較してみると、「正しく使用すれば安全だと思う」(52.7%→48.3%)、「正しく使用すればがんの痛みに効果的だと思う」(52.9%→47.5%)を挙げた者の割合が低下している。
性別に見ると、「正しく使用すれば安全だと思う」を挙げた者の割合は男性で、「最後の手段だと思う」を挙げた者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると、「正しく使用すればがんの痛みに効果的だと思う」、「最後の手段だと思う」を挙げた者の割合は50歳代で、「だんだん効かなくなると思う」を挙げた者の割合は40歳代、50歳代で、それぞれ高くなっている。(図9、表9(CSV形式:2KB)、表9-参考(CSV形式:1KB))
(8) がんであることを話せるか
自身が、がんと診断されたら、家族や友人などだれか身近な人にがんのことを自由に話せると思うか聞いたところ、「話せると思う」とする者の割合が88.8%(「話せると思う」66.1%+「どちらかといえば話せると思う」22.6%)、「話せると思わない」とする者の割合が10.3%(「どちらかといえば話せると思わない」6.3%+「話せると思わない」4.1%)となっている。
前回の調査結果と比較してみると、大きな変化は見られない。
性別に見ると、大きな差異は見られない。
年齢別に見ると、「話せると思う」とする者の割合は30歳代で高くなっている。(図10、表10(CSV形式:1KB)、表10-参考(CSV形式:1KB))
(9) 仕事と治療等の両立について
現在の日本の社会では、がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要がある場合、働きつづけられる環境だと思うか聞いたところ、「そう思う」とする者の割合が37.1%(「そう思う」12.8%+「どちらかといえばそう思う」24.3%)、「そう思わない」とする者の割合が57.4%(「どちらかといえばそう思わない」34.5%+「そう思わない」23.0%)となっている。
前回の調査結果と比較してみると、「そう思う」(27.9%→37.1%)とする者の割合が上昇し、「そう思わない」(64.5%→57.4%)とする者の割合が低下している。
性別に見ると、「そう思う」とする者の割合は男性で、「そう思わない」とする者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると、「そう思わない」とする者の割合は40歳代で高くなっている。(図11、表11(CSV形式:1KB)、表11-参考(CSV形式:1KB))
ア 両立を困難にする最大の要因
日本の社会は通院しながら働き続けられる環境と思うかについて、「どちらかといえばそう思わない」、「そう思わない」と答えた者(946人)に、がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要がある場合、働き続けることを難しくさせている最も大きな理由は何だと思うか聞いたところ、「がんの治療・検査と仕事の両立が体力的に困難だから」と答えた者の割合が23.5%、「代わりに仕事をする人がいない、または、いても頼みにくいから」と答えた者の割合が20.9%、「職場が休むことを許してくれるかどうかわからないから」と答えた者の割合が19.1%、「休むと収入が減ってしまうから」と答えた者の割合が16.6%、「がんの治療・検査と仕事の両立が精神的に困難だから」と答えた者の割合が12.5%、「休むと職場での評価が下がるから」と答えた者の割合が5.1%となっている。
前回の調査結果と比較してみると、「がんの治療・検査と仕事の両立が体力的に困難だから」(19.9%→23.5%)と答えた者の割合が上昇している。
性別に見ると、「がんの治療・検査と仕事の両立が体力的に困難だから」と答えた者の割合は女性で、「代わりに仕事をする人がいない、または、いても頼みにくいから」と答えた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。(図12、表12(CSV形式:2KB)、表12-参考(CSV形式:1KB))