2 調査結果の概要
- 貿易問題について
(1) 日本の貿易黒字についての考え方
日本が大幅な貿易黒字を続けていることについて,どう考えるか聞いたところ,「諸外国との協調のため,管理貿易的な手段を用いてでも大幅な黒字を減らす努力をすべきだ」と答えた者の割合が4.9%,「産業構造の調整や規制緩和などを図り,また,社会資本の整備など内需の拡大を図ることにより,大幅な黒字を減らすための最大限の努力をすべきだ」と答えた者の割合が22.9%,「大幅な黒字は減らすべきだが,国内事情もあるのだから慎重に対処すべきだ」と答えた者の割合が39.5%,「日本人は勤勉で高い技術を持ち,安くて良い品を輸出しているのだから,大幅な黒字が続いてもよい」と答えた者の割合が17.2%となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合は15.3%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「大幅な黒字は減らすべきだが,国内事情もあるのだから慎重に対処すべきだ」と答えた者の割合が低下(43.1%→39.5%)し,「日本人は勤勉で高い技術を持ち,安くて良い品を輸出しているのだから,大幅な黒字が続いてもよい」と答えた者の割合が上昇(13.7%→17.2%)している。(図15)
性別に見ると,「諸外国との協調のため,管理貿易的な手段を用いてでも大幅な黒字を減らす努力をすべきだ」,「産業構造の調整や規制緩和などを図り,また,社会資本の整備など内需の拡大を図ることにより,大幅な黒字を減らすための最大限の努力をすべきだ」と答えた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「産業構造の調整や規制緩和などを図り,また,社会資本の整備など内需の拡大を図ることにより,大幅な黒字を減らすための最大限の努力をすべきだ」と答えた者の割合は40歳代で,「大幅な黒字は減らすべきだが,国内事情もあるのだから慎重に対処すべきだ」と答えた者の割合は20歳代,30歳代で,「日本人は勤勉で高い技術を持ち,安くて良い品を輸出しているのだから,大幅な黒字が続いてもよい」と答えた者の割合は60歳代で,それぞれ高くなっている。(表13)
(2) 世界貿易機関の周知度
最近,世界貿易機関(WTO)という言葉が新聞紙上などで見かけられるが,このことについて,どの程度知っているか聞いたところ,「世界貿易機関(WTO)の概要については知っている」と答えた者の割合が11.4%,「世界貿易機関(WTO)という言葉は聞いたことがある」と答えた者の割合が55.2%,「知らない」と答えた者の割合が26.9%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「世界貿易機関(WTO)という言葉は聞いたことがある」と答えた者の割合が上昇(49.1%→55.2%)し,「知らない」と答えた者の割合が低下(30.2→26.9%)している。
性別に見ると,「世界貿易機関(WTO)の概要については知っている」と答えた者の割合は男性で,高くなっている。
年齢別に見ると,「世界貿易機関(WTO)の概要については知っている」と答えた者の割合は50歳代で,「世界貿易機関(WTO)という言葉は聞いたことがある」と答えた者の割合は20歳代から40歳代で,「知らない」と答えた者の割合は60歳代,70歳以上で,それぞれ高くなっている。(図16,表14)ア 貿易紛争の世界貿易機関での解決
「世界貿易機関(WTO)の概要については知っている」,「世界貿易機関(WTO)という言葉は聞いたことがある」と答えた者1,400人に,最近,世界貿易機関(WTO)に持ち込まれる貿易紛争が増えているが,日本が関係する貿易紛争を世界貿易機関(WTO)の場で解決することについて,どう考えるかを聞いた。
その結果,「日本に有利な判断が出た場合には貿易紛争を有利に解決できるので,世界貿易機関(WTO)の場で解決すべきだ」と答えた者の割合が14.6%,「日本に不利な判断が出た場合にも従わざるを得なくなるので,世界貿易機関(WTO)の場で解決すべきではない」と答えた者の割合が8.4%,「国際ルールに基づく紛争解決が重要なので,世界貿易機関(WTO)の場で解決すべきだ」と答えた者の割合が46.5%,「二国間の関係にも配慮した柔軟な紛争解決が重要なので,世界貿易機関(WTO)の場で解決すべきでない」と答えた者の割合が11.1%となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合が19.1%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,大きな変化は見られない。
性別に見ると,「国際ルールに基づく紛争解決が重要なので,世界貿易機関(WTO)の場で解決すべきだ」答えた者の割合は,男性が高くなっている。
年齢別に見ると,「日本に有利な判断が出た場合には貿易紛争を有利に解決できるので,世界貿易機関(WTO)の場で解決すべきだ」と答えた者の割合は70歳以上で,「国際ルールに基づく紛争解決が重要なので,世界貿易機関(WTO)の場で解決すべきだ」と答えた者の割合は20歳代で,「二国間の関係にも配慮した柔軟な紛争解決が重要なので,世界貿易機関(WTO)の場で解決すべきでない」と答えた者の割合は30歳代で,それぞれ高くなっている。(図17,表15)
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