2 調査結果の概要
- 日本の国際化と国際社会における役割について
(1) 日本の国際化についての考え方
日本の経済や,文化や,社会生活などの国際化が進むことについて,どう考えるか聞いたところ,「好ましい」と答えた者の割合が80.3%(「好ましい」42.0%+「どちらかと言えば好ましい」38.3%),「好ましくない」と答えた者の割合が12.0%(「どちらかと言えば好ましくない」9.9%+「好ましくない」2.0%)となっている。
性別に見ると,「好ましい」と答えた者の割合は,男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「好ましい」と答えた者の割合は20歳代から40歳代で,「好ましくない」と答えた者の割合は60歳代,70歳以上で,それぞれ高くなっている。(図1,表1,参考表1)ア 日本の国際化が好ましい理由
日本の国際化が「好ましい」と答えた者1,688人に,「好ましい」と考える理由を聞いたところ,「日本の産業や経済によい影響を及ぼす」と答えた者の割合が48.6%と最も高く,以下,「日本の文化をより豊かにする」(33.0%),「地域の活性化など社会によい影響を及ぼす」(16.2%)などの順となっている。(図2)
年齢別に見ると,「日本の産業や経済によい影響を及ぼす」と答えた者の割合は40歳代で, 「地域の活性化など社会によい影響を及ぼす」と答えた者の割合は30歳代で,それぞれ高くなっている。(表2)イ 日本の国際化が好ましくない理由
日本の国際化が「好ましくない」と答えた者252人に,「好ましくない」と考える理由を聞いたところ,「日本の文化の特質を失わせる」と答えた者の割合が40.9%,「治安など社会に悪い影響を及ぼす」と答えた者の割合が40.9%と高く,以下,「日本の産業や経済に悪い影響を及ぼす」(15.9%)などの順となっている。(図3,表3)
(2) 国際社会における日本の役割
日本は国際社会で,主としてどのような役割を果たすべきだと考えるか2つまで聞いたところ,「地環境問題などの地球的規模の問題解決への貢献」を挙げた者の割合が46.8%と最も高く,以下,「人的支援を含んだ,地域紛争の平和的解決に向けた努力などの国際平和の維持への貢献」(42.2%),「難民・避難民(特に子供,女性)に対する人道的な支援」(30.6%)などの順となっている。(2つまでの複数回答)
前回の調査結果(平成10年11月の調査をいう。以下,同じ。)と比較して見ると, 「地環境問題などの地球的規模の問題解決への貢献」を挙げた割合が上昇(40.2%→46.8)している。(図4)
性別に見ると,「人的支援を含んだ,地域紛争の平和的解決に向けた努力などの国際平和の維持への貢献」を挙げた者の割合は男性で,「難民・避難民(特に子供,女性)に対する人道的な支援」を挙げた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「地環境問題などの地球的規模の問題解決への貢献」を挙げた者の割合は30歳代で高くなっている。(表4,参考表2,参考表3)
(3) 国連を通じて行う国際協力の重要分野
日本が国連を通じて国際協力を積極的に推進していく上で,どの分野が重要だと思うか聞いたところ,「国際平和と安全の維持」を挙げた者の割合が68.7%と最も高く,以下,「環境問題」(56.4%),「軍縮・不拡散(核兵器やミサイル等の拡散防止)」(41.5%),「児童・障害者・高齢者対策」(35.4%),「開発途上国への援助」(33.3%)などの順となっている。(複数回答)(図5)
前回の調査結果と比較して見ると,「環境問題」(50.4%→56.4%),「軍縮・不拡散(核兵器やミサイル等の拡散防止)」(31.4%→41.5%),「児童・障害者・高齢者対策」(28.8%→35.4%)を挙げた者の割合が,それぞれ上昇している。
性別に見ると,「軍縮・不拡散(核兵器やミサイル等の拡散防止)」,「開発途上国への援助」を挙げた者の割合は男性で,「児童・障害者・高齢者対策」を挙げた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「国際平和と安全の維持」を挙げた者の割合は40歳代で,「環境問題」を挙げた者の割合は20歳代から40歳代で, 「軍縮・不拡散(核兵器やミサイル等の拡散防止)」を挙げた者の割合は30歳代で,「児童・障害者・高齢者対策」を挙げた者の割合は20歳代,30歳代で,「開発途上国への援助」を挙げた者の割合は40歳代で,それぞれ高くなっている。(表5)
(4) 国連平和維持活動への参加についての考え方
現在,世界の約70か国が,国連平和維持活動(PKO)に要員を派遣しており,日本も国際平和協力法に基づいて,カンボジア,ゴラン高原,東チモールなどのPKOや,ルワンダ難民救援のための人道的な国際救援活動や,ボスニア・ヘルツェゴビナにおける国際的な選挙監視活動に参加してきているが,日本はこれからも,こうしたPKOなどの活動に参加すべきだと考えるか聞いた。
その結果,「これまで以上に積極的に参加すべきだ」と答えた者の割合が29.9%,「これまで程度の参加を続けるべきだ」と答えた者の割合が48.2%,「参加すべきだが,出来るだけ少なくすべきだ」と答えた者の割合が12.7%,「参加すべきではない」と答えた者の割合が2.3%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,大きな変化はみられない。(図6,図7)
性別に見ると,「これまで以上に積極的に参加すべきだ」と答えた者の割合は男性で,「これまで程度の参加を続けるべきだ」と答えた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「これまで以上に積極的に参加すべきだ」と答えた者の割合は20歳代,40歳代で,「参加すべきだが,出来るだけ少なくすべきだ」70歳以上で,それぞれ高くなっている。(表6)
(5) 国連安全保障理事会の常任理事国入りについての考え方
国連では,安全保障理事会の機能を強化するとともに,地域によって不均衡な議席配分の改善を図るため,構成国数を増加する方向で議論が進められているが,日本が安全保障理事会の常任理事国に加わることについて,どう考えるか聞いたところ,「賛成」と答えた者の割合が67.0%(「賛成」33.3%+「どちらかと言えば賛成」33.7%),「反対」と答えた者の割合が11.1%(「どちらかと言えば反対」7.6%+「反対」3.6%)となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合が21.6%となっている。
前回の調査と比較して見ると,大きな変化は見られない。(図8,図9)
性別に見ると,「賛成」と答えた者の割合は男性で,高くなっている。
年齢別に見ると,「賛成」と答えた者の割合は20歳代で,高くなっている。(表7)ア 日本の常任理事国入りに賛成する理由
日本の常任理事国入りに「賛成」と答えた者1,409人に「賛成」する理由を聞いたところ,「非核保有国で平和主義を理念としている日本が加わることが世界の平和に役立つ」と答えた者の割合が30.9%,「日本は経済大国になったのだから,世界の平和の構築のために積極的に参画していくべきだ」と答えた者の割合が27.0%と,高く,以下,「日本は国連に多大な財政的貢献を行っているのに,重要な意思決定に加われないのはおかしい」(22.7%)などの順となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,大きな変化は見られない。(図10)
性別に見ると,「非核保有国で平和主義を理念としている日本が加わることが世界の平和に役立つ」と答えた者の割合は女性で,「日本は国連に多大な財政的貢献を行っているのに,重要な意思決定に加われないのはおかしい」と答えた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。(表8)イ 日本の常任理事国入りに反対する理由
日本の常任理事国入りに「反対」と答えた者234人に「反対」する理由を聞いたところ,「常任理事国になれば,国連の軍事活動に積極的に参加しなければならなくなる」と答えた者の割合が24.8%,「常任理事国になると,国連に対し,これまで以上の財政的負担を負わなければならなくなる」と答えた者の割合が22.2%,「常任理事国にならなくとも,経済・社会分野や環境問題などの非軍事的分野で十分な国際貢献を行っていける」と答えた者の割合が20.9%などの順となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「常任理事国になると,国連に対し,これまで以上の財政的負担を負わなければならなくなる」と答えた者の割合が低下(36.8%→22.2%)している。(図11,表9)
(6) 日本の意見や立場を外国に正確に伝えること
一般的に言って,日本は自分の国の意見や立場を外国に正確に伝えたり理解させたりしていると思うか聞いたところ,「そう思う」と答えた者の割合が10.9%,「そうは思わない」と答えた者の割合が64.9%,「どちらともいえない」と答えた者の割合が15.8%となっている。
平成9年10月の調査結果と比較して見ると,「そう思う」答えた者の割合が上昇(8.9%→10.9%)している。(図12)
年齢別に見ると,「そう思う」答えた者の割合は60歳代,70歳以上で,「そうは思わない」と答えた者の割合は30歳代,40歳代で,それぞれ高くなっている。(表10)ア 日本の意見や立場を外国に正確に伝えているとは思わない理由
日本は自分の国の意見や立場を外国に正確に伝えたり理解させたりしているとは思わないと答えた者1,365人に,「そうは思わない」理由を聞いたところ,「諸外国の対日認識には誤解や理解の不十分な面があるから」と答えた者の割合が47.1%と最も高く,以下,「諸外国の対日批判に関する反論に不十分な面があるから」(31.3%),「諸外国で入手可能な日本に関する情報が少ないから」(16.5%)の順となっている。
平成9年10月調査と比較して見ると,大きな変化は見られない。(図13,表11)
(7) 海外での日本人の保護や支援のあり方
海外で,交通事故,犯罪,病気などの事件や事故にあった日本人についての保護や支援について,どう考えるか聞いたところ,「個人または派遣元企業・団体が各自の責任で対応すべきである」と答えた者の割合が7.3%,「できるだけ,個人または派遣元企業・団体が各自の責任で対応すべきであるが,できないところは政府や大使館が保護や支援をすべきだ」と答えた者の割合が33.7%,「個人または派遣元企業・団体が各自の責任で対応できるような場合であっても,政府や大使館が積極的に保護や支援をすべきだ」と答えた者の割合が32.0%,「いかなる場合であっても,政府や大使館が保護や支援をすべきだ」と答えた者の割合が23.1%となっている。
平成9年10月調査と比較して見ると,大きな変化は見られない。(図14)
性別に見ると,「個人または派遣元企業・団体が各自の責任で対応すべきである」,「できるだけ,個人または派遣元企業・団体が各自の責任で対応すべきであるが,できないところは政府や大使館が保護や支援をすべきだ」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「個人または派遣元企業・団体が各自の責任で対応できるような場合であっても,政府や大使館が積極的に保護や支援をすべきだ」と答えた者の割合は,30歳代で高くなっている。(表12)
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