2 調査結果の概要
- 社会に対する意識について
(1)社会志向か個人志向か
国民は,「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」という意見と,「個人生活の充実をもっと重視すべきだ」という意見があるが,このうちどちらの意見に近いか聞いたところ,「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」と答えた者の割合が47.5%,「個人生活の充実をもっと重視すべきだ」と答えた者の割合が31.4%,「一概に言えない」と答えた者の割合が18.1%となっている。
前回の調査結果(平成10年12月の調査結果をいう。以下同じ。)と比較して見ると,「一概にいえない」(16.8%→18.1%)と答えた者の割合が上昇している。(図1)
都市規模別に見ると,「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」と答えた者の割合は大都市で,「個人生活の充実をもっと重視すべきだ」と答えた者の割合は町村で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」と答えた者の割合は男性で,「一概にいえない」と答えた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
性・年齢別に見ると,「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」と答えた者の割合は男性の50歳代,60歳代及び女性の50歳代で,「個人生活の充実をもっと重視すべきだ」と答えた者の割合は,男女共に20歳代,30歳代で,「一概にいえない」と答えた者の割合は女性の40歳代,70歳以上で,それぞれ高くなっている。(表1)(2)社会への貢献意識
日頃,社会の一員として,何か社会のために役立ちたいと思っているか聞いたところ,「思っている」と答えた者の割合が60.7%,「あまり考えていない」と答えた者の割合が36.3%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,大きな変化は見られない。(図2)
都市規模別に見ると,「思っている」と答えた者の割合は中都市で,「あまり考えていない」と答えた者の割合は町村で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
性・年齢別に見ると,「思っている」と答えた者の割合は男性の40歳代から60歳代及び女性の40歳代,50歳代で,「あまり考えていない」と答えた者の割合は男女共に20歳代,70歳以上で,それぞれ高くなっている。(表2)ア 社会への貢献内容
「日頃,社会の一員として,何か社会のために役立ちたいと思っている」と答えた者(4,206人)に,何か社会のために役立ちたいと思っているのはどのようなことか聞いたところ「町内会などの地域活動(お祝い事や不幸などの手伝い,町内会や自治会などの役員,防犯や防火活動など)」を挙げた者の割合が36.8%,「自然・環境保護に関する活動(環境美化,リサイクル活動,牛乳パックの回収など)」を挙げた者の割合が36.3%,「社会福祉に関する活動(老人や障害者などに対する介護,身の回りの世話,給食,保育など)」を挙げた者の割合が33.9%と高く,以下,「自分の職業を通して」(21.5%)などの順となっている。(複数回答)
前回の調査結果と比較して見ると,「町内会などの地域活動(お祝い事や不幸などの手伝い,町内会や自治会などの役員,防犯や防火活動など)」(34.4%→36.8%)を挙げた者の割合が上昇し,「社会福祉に関する活動(老人や障害者などに対する介護,身の回りの世話,給食,保育など)」(37.5%→33.9%)を挙げた者の割合が低下している。(図3)
都市規模別に見ると,「町内会などの地域活動(お祝い事や不幸などの手伝い,町内会や自治会などの役員,防犯や防火活動など)」を挙げた者の割合は町村で,「自然・環境保護に関する活動(環境美化,リサイクル活動,牛乳パックの回収など)」を挙げた者の割合は中都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「自然・環境保護に関する活動(環境美化,リサイクル活動,牛乳パックの回収など)」,「社会福祉に関する活動(老人や障害者などに対する介護,身の回りの世話,給食,保育など)」を挙げた者の割合は女性で,「自分の職業を通して」を挙げた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
性・年齢別に見ると,「町内会などの地域活動(お祝い事や不幸などの手伝い,町内会や自治会などの役員,防犯や防火活動など)」を挙げた者の割合は男性の60歳代,70歳以上及び女性の50歳代から70歳以上で,「自然・環境保護に関する活動(環境美化,リサイクル活動,牛乳パックの回収など)」を挙げた者の割合は女性の30歳代,40歳代で,「社会福祉に関する活動(老人や障害者などに対する介護,身の回りの世話,給食,保育など)」を挙げた者の割合は女性の30歳代から50歳代で,「自分の職業を通して」を挙げた者の割合は男性の20歳代から50歳代で,それぞれ高くなっている。(表3)(3)国民全体の利益か個人の利益か
今後,日本人は,個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだと思うか,それとも,国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだと思うか聞いたところ,「個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ」(以下「国民全体の利益」という。)と答えた者の割合が35.2%,「国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ」(以下「個人の利益」という。)と答えた者の割合が28.4%,「一概に言えない」と答えた者の割合が32.1%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「国民全体の利益」(37.5%→35.2%)と答えた者の割合が低下し,「一概に言えない」(29.6%→32.1%)と答えた者の割合が上昇している。(図4)
性別に見ると,「国民全体の利益」と答えた者の割合は男性で,「一概に言えない」と答えた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
性・年齢別に見ると,「国民全体の利益」と答えた者の割合は男性の60歳代,70歳以上で,「個人の利益」と答えた者の割合は男性の20歳代,30歳代で,「一概に言えない」と答えた者の割合は女性の30歳代,40歳代で,それぞれ高くなっている。(表4)(4)世相に関する意識
ア 明るいイメージ
現在の世相を一言で言えば,明るいイメージとしては,どのような表現があてはまると思うか聞いたところ,「平和である」を挙げた者の割合が55.2%と最も高く,以下,「安定している」(15.3%),「ゆとりがある」(8.0%)などの順となっている。なお,「特にない」と答えた者の割合が25.8%となっている。(複数回答)
前回の調査結果と比較して見ると,「安定している」(13.6%→15.3%)を挙げた者の割合が上昇している。(図5)
性別に見ると,「安定している」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。
性・年齢別に見ると,「平和である」を挙げた者の割合は男女共に40歳代で,「安定している」を挙げた者の割合は男性の30歳代,50歳代で,それぞれ高くなっている。(表5)イ 暗いイメージ
現在の世相を一言で言えば,暗いイメージとしては,どのような表現があてはまると思うか聞いたところ,「無責任の風潮がつよい」を挙げた者の割合が53.0%と最も高く,以下,「自分本位である」(46.8%),「ゆとりがない」(31.1%),「連帯感が乏しい」(28.2%),「不安なこと,いらいらすることが多い」(27.1%),「活気がない」(22.0%)などの順となっている。(複数回答)
前回の調査結果と比較して見ると,「無責任の風潮がつよい」(48.2%→53.0%),「自分本位である」(42.5%→46.8%),「連帯感が乏しい」(26.3%→28.2%)を挙げた者の割合が上昇し,「ゆとりがない」(33.9%→31.1%),「活気がない」(27.3%→22.0%)を挙げた者の割合が低下している。(図6)
都市規模別に見ると,「無責任の風潮がつよい」を挙げた者の割合は大都市で,「連帯感が乏しい」を挙げた者の割合は町村で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「無責任の風潮がつよい」を挙げた者の割合は男性で,「不安なこと,いらいらすることが多い」を挙げた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
性・年齢別に見ると,「無責任の風潮がつよい」を挙げた者の割合は男性の60歳代及び女性の40歳代で,「自分本位である」を挙げた者の割合は女性の40歳代,50歳代で,「ゆとりがない」を挙げた者の割合は男性の30歳代から50歳代及び女性の40歳代で,「連帯感が乏しい」を挙げた者の割合は男性の60歳代及び女性の50歳代で,「不安なこと,いらいらすることが多い」を挙げた者の割合は女性の50歳代,60歳代で,「活気がない」を挙げた者の割合は男性の30歳代,50歳代及び女性の30歳代で,それぞれ高くなっている。(表6)(5)国の政策への民意の反映
ア 国の政策への民意の反映程度
全般的にみて,国の政策に国民の考えや意見がどの程度反映されていると思うか聞いたところ,「反映されている」とする者が15.0%(「かなり反映されている」1.6%+「ある程度反映されている」13.4%),「反映されていない」とする者が79.3%(「あまり反映されていない」52.9%+「ほとんど反映されていない」26.4%)となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,大きな変化は見られない。(図7)
都市規模別に見ると, 「反映されていない」とする者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「反映されている」とする者の割合は男性で高くなっている。
性・年齢別に見ると,「反映されている」とする者の割合は男性の50歳代から70歳以上で,「反映されていない」とする者の割合は男性の30歳代,40歳代及び女性の20歳代から50歳代で,それぞれ高くなっている。(表7)イ 国の政策への民意の反映方法
国の政策に民意が「ある程度反映されている」,「あまり反映されていない」,「ほとんど反映されていない」と答えた者(6,426人)に,どうすればよりよく反映されるようになると思うか聞いたところ,「政治家が国民の声をよく聞く」と答えた者の割合が26.8%と最も高く,以下,「国民が選挙のときに自覚して投票する」(18.3%),「国民が国の政策に関心を持つ」(18.1%),「国民が参加できる場をひろげる」(17.1%),「政府が世論をよく聞く」(11.5%)などの順となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「政府が世論をよく聞く」(12.9%→11.5%)と答えた者の割合が低下している。(図8)
都市規模別に見ると, 「政治家が国民の声をよく聞く」と答えた者の割合は町村で,「国民が選挙のときに自覚して投票する」,「国民が国の政策に関心を持つ」と答えた者の割合は大都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると, 「政治家が国民の声をよく聞く」と答えた者の割合は女性で,「国民が選挙のときに自覚して投票する」,「国民が国の政策に関心を持つ」と答えた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
性・年齢別に見ると,「政治家が国民の声をよく聞く」と答えた者の割合は男性の70歳以上及び女性の60歳代,70歳以上で,「国民が選挙のときに自覚して投票する」と答えた者の割合は男性の40歳代から60歳代及び女性の60歳代で,「国民が参加できる場をひろげる」と答えた者の割合は男性の20歳代,30歳代及び女性の20歳代から40歳代で,それぞれ高くなっている。(表8)
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