2 調査結果の概要
- エイズ感染に関する意識
(1) エイズ感染に対する不安感
将来,エイズの原因となるウイルスに感染する不安があるかどうか聞いたところ,「不安がある」とする者の割合が20.8%(「大変不安がある」1.8%+「ある程度不安がある」19.0%),「不安はない」とする者の割合が75.2%(「あまり不安はない」33.1%+「全く不安はない」42.1%)となっている。(図7)(参考図)
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「不安がある」とする者の割合は男性で,「不安はない」とする者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「不安がある」とする者の割合は15〜19歳,20歳代,30歳代で,「不安はない」とする者の割合は50歳代から70歳以上で,それぞれ高くなっている。(表7)(参考表)
なお,20歳以上でエイズを見聞きした者で,前回の調査結果と今回の調査結果を比較して見ると,「不安がある」とする者の割合が上昇(16.7%→19.9%)し,「不安はない」とする者の割合が低下(79.8%→77.0%)している。ア エイズ感染の不安がある理由
エイズの原因となるウイルスに感染する「不安がある」とする者(724人)に,将来,エイズの原因となるウイルスに感染する不安があると思う理由は何か聞いたところ,「誰でも感染する可能性がある病気である」を挙げた者の割合が44.2%,「エイズ患者や感染者が増加している」を挙げた者の割合が41.6%,「ワクチンなど予防薬が開発されていない」を挙げた者の割合が41.3%と高く,以下,「ウイルスによって広く感染する病気である」(26.1%),「エイズ感染の予防方法が確立していない」(26.1%)などの順となっている。(複数回答,図8)
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「エイズ患者や感染者が増加している」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「誰でも感染する可能性がある病気である」,「ワクチンなど予防薬が開発されていない」を挙げた者の割合は30歳代で,「エイズ患者や感染者が増加している」を挙げた者の割合は20歳代で,「ウイルスによって広く感染する病気である」を挙げた者の割合は50歳代で,それぞれ高くなっている。(表8)イ エイズ感染の不安がない理由
エイズの原因となるウイルスに感染する「不安はない」とする者(2,618人)に,将来,エイズの原因となるウイルスに感染する不安はないと思う理由は何か聞いたところ,「身近にエイズ患者や感染者がいない」を挙げた者の割合が59.6%と最も高く,以下,「特定の人々の病気だと思う」(29.8%),「エイズ感染の予防知識がある」(21.9%)などの順となっている。(複数回答,図9)
都市規模別に見ると,「特定の人々の病気だと思う」を挙げた者の割合は大都市,町村で,「エイズ感染の予防知識がある」を挙げた者の割合は中都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「身近にエイズ患者や感染者がいない」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「身近にエイズ患者や感染者がいない」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,「特定の人々の病気だと思う」を挙げた者の割合は50歳代,70歳以上で,「エイズ感染の予防知識がある」を挙げた者の割合は20歳代から40歳代で,それぞれ高くなっている。(表9)(2) エイズ感染経路の周知度
ア 患者や感染者との性行為
エイズの原因となるウイルスの感染は,「患者や感染者との性行為」によって感染する可能性があることを知っているかどうか聞いたところ,「知っている」と答えた者の割合が96.4%,「知らない」と答えた者の割合が2.1%となっている。(図10)
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
年齢別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は20歳代から50歳代で,それぞれ高くなっている。(表10)イ 患者や感染者とのかみそりや歯ブラシの共用
エイズの原因となるウイルスの感染は,「患者や感染者とのかみそりや歯ブラシの共用」によって感染する可能性があることを知っているかどうか聞いたところ,「知っている」と答えた者の割合が61.2%,「知らない」と答えた者の割合が32.2%となっている。(図11)
都市規模別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は中都市で,「知らない」と答えた者の割合は町村で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は30歳代から50歳代で,「知らない」と答えた者の割合は15〜19歳,20歳代で,それぞれ高くなっている。(表11)ウ 患者や感染者との注射器の回し打ち
エイズの原因となるウイルスの感染は,「患者や感染者との注射器の回し打ち」によって感染する可能性があることを知っているかどうか聞いたところ,「知っている」と答えた者の割合が88.8%,「知らない」と答えた者の割合が7.3%となっている。(図12)
都市規模別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は中都市で,高くなっている。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
年齢別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は20歳代から50歳代で高くなっている。(表12)エ 患者や感染者の授乳
エイズの原因となるウイルスの感染は,「患者や感染者の授乳」によって感染する可能性があることを知っているかどうか聞いたところ,「知っている」と答えた者の割合が51.5%,「知らない」と答えた者の割合が36.7%となっている。
都市規模別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は大都市で,「知らない」と答えた者の割合は町村で,それぞれ高くなっている。(図13)
性別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は女性で,「知らない」と答えた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は20歳代から40歳代で,「知らない」と答えた者の割合は15〜19歳で,それぞれ高くなっている。(表13)オ 患者や感染者の出産
エイズの原因となるウイルスの感染は,「患者や感染者の出産」によって感染する可能性があることを知っているかどうか聞いたところ,「知っている」と答えた者の割合が68.4%,「知らない」と答えた者の割合が22.3%となっている。
都市規模別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は大都市で,「知らない」と答えた者の割合は町村で,それぞれ高くなっている。(図14)
性別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は女性で,「知らない」と答えた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は20歳代から40歳代で,「知らない」と答えた者の割合は15〜19歳,60歳代,70歳以上で,それぞれ高くなっている。(表14)(3) 自分がエイズに感染した場合の対処
万一,仮にエイズの原因となるウイルスに感染したかもしれないと思った場合どうすると思うか聞いたところ,「医院や病院で相談する」と答えた者の割合が36.5%と最も高く,以下,「医院や病院で検査を受ける」(33.0%),「保健所で検査を受ける」(13.8%),「保健所などの相談窓口に相談する」(10.9%)などの順となっている。(図15)
都市規模別に見ると,「保健所で検査を受ける」と答えた者の割合は中都市で高くなっている。
性別に見ると,「医院や病院で検査を受ける」と答えた者の割合は男性で,「保健所などの相談窓口に相談する」と答えた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「医院や病院で検査を受ける」と答えた者の割合は15〜19歳,60歳代,70歳以上で,「医院や病院で検査を受ける」と答えた者の割合は30歳代,40歳代で,「保健所で検査を受ける」と答えた者の割合は20歳代,30歳代で,それぞれ高くなっている。(表15)(参考表)(4) 配偶者がエイズに感染した場合の対応
万一,仮に配偶者がエイズの原因となるウイルスに感染したら,どうすると思うか聞いたところ,「従来と同様の生活をする」と答えた者の割合が54.9%と最も高く,以下,「同居するが生活を区分する」(19.8%)などの順となっている。
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。(図16)
性別に見ると,「従来と同様の生活をする」と答えた者の割合は男性で,「同居するが生活を区分する」と答えた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「従来と同様の生活をする」と答えた者の割合は40歳代で高くなっている。(表16)(参考表)(5) 身近な人や友人がエイズに感染した場合の対応
万一,仮に身近な人や友人がエイズの原因となるウイルスに感染したら,どうすると思うか聞いたところ,「従来と同様のつきあいをする」と答えた者の割合が59.5%と最も高く,以下,「付き合いを減らす」(24.3%)などの順となっている。(図17)
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
年齢別に見ると,「従来と同様のつきあいをする」と答えた者の割合は15〜19歳,20歳代,30歳代で,「付き合いを減らす」50歳代,60歳代で,それぞれ高くなっている。(表17)(参考表)
なお,20歳以上でエイズを見聞きした者で,前回の調査結果と今回の調査結果を比較して見ると,「従来と同様のつきあいをする」(55.5%→59.3%)を挙げた者の割合が上昇している。(6) エイズ患者や感染者の職場勤務に対する意識
仮に職場で,エイズ患者やエイズの原因となるウイルスの感染者が一緒に働くことについて,どう思うか聞いたところ,「好ましい」とする者の割合が39.6%(「好ましい」10.9%+「どちらかといえば好ましい」28.7%),「好ましくない」とする者の割合が45.3%(「どちらかといえば好ましくない」34.9%+「好ましくない」10.4%)となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合が15.2%となっている。(図18)
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
年齢別に見ると,「好ましい」とする者の割合は15歳〜19歳,20歳代,30歳代で,「好ましくない」とする者の割合は50歳代,60歳代で,それぞれ高くなっている。(表18)ア エイズ患者や感染者の職場勤務を好ましいと思う理由
職場で,エイズ患者やエイズの原因となるウイルスの感染者が一緒に働くことについて,「好ましい」とする者(1,378人)に好ましいと思う理由は何か聞いたところ,「差別はよくない」を挙げた者の割合が65.2%,「働く権利がある」を挙げた者の割合が60.7%と高く,以下,「感染する可能性が少ない」(37.3%),「思いやりの気持ちが養われる」(15.3%)などの順となっている。(複数回答,図19)
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「働く権利がある」,「感染する可能性が少ない」,「思いやりの気持ちが養われる」を挙げた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「働く権利がある」を挙げた者の割合は30歳代,40歳代で,「感染する可能性が少ない」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,「思いやりの気持ちが養われる」を挙げた者の割合は60歳代で,それぞれ高くなっている。(表19) イ エイズ患者や感染者の職場勤務を好ましいと思わない理由
職場で,エイズ患者やエイズの原因となるウイルスの感染者が一緒に働くことについて,「好ましくない」とする者(1,577人)に好ましくないと思う理由は何か聞いたところ,「気遣いが必要になる」を挙げた者の割合が65.9%と最も高く,以下,「職場環境に影響がでる」(36.2%),「感染する可能性がある」(34.2%),「負担が増える」(15.1%)などの順となっている(複数回答,図20)
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「職場環境に影響がでる」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「気遣いが必要になる」を挙げた者の割合は30歳代で,「職場環境に影響がでる」を挙げた者の割合は40歳代で,それぞれ高くなっている。(表20)(7) エイズ患者や感染者の差別に対する意識
「エイズ患者やエイズの原因となるウイルスの感染者に対する社会的偏見や差別があってはならない」という見方に,あなたは同感するかどうか聞いたところ,「同感する」とする者の割合が84.1%(「同感する」53.6%+「どちらかといえば同感する」30.5%),「同感しない」とする者の割合が9.9%(「どちらかといえば同感しない」7.1%+「同感しない」2.8%)となっている。(図21)(参考図)
都市規模別に見ると,「同感する」とする者の割合は中都市で高くなっている。
年齢別に見ると,「同感する」とする者の割合は20歳代から40歳代で,それぞれ高くなっている。
なお,20歳以上でエイズを見聞きした者で,前回の調査結果と今回の調査結果を比較して見ると,「同感する」(82.5%→84.1%)とする者の割合が上昇している。(表21)(参考表)(8) エイズ感染予防のためのコンドームの使用
エイズの感染予防のためにコンドームを使用しているかどうか聞いたところ,「使用している」とする者の割合が26.8%(「常に使用している」17.1%+「時々使用している」9.6%),「使用していない」とする者の割合が49.9%(「あまり使用していない」6.1%+「使用していない」43.8%)となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合が23.3%となっている。(図22)
都市規模別に見ると,「使用している」とする者の割合は小都市で,「使用していない」とする者の割合は町村で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「使用している」とする者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「使用している」とする者の割合は20歳代から40歳代で,「使用していない」とする者の割合は50歳代から70歳以上で,それぞれ高くなっている。(表22)
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