世論調査報告書
内閣府政府広報室
調査の概要
・調査目的 | |||||||||
一般有識者の刑事裁判に対する批判及び陪審制度に対する意見を調査し刑法改正の参考に資する。 | |||||||||
・調査項目 | |||||||||
(1)現在の刑事裁判のやり方及び判決に対する認識と批判 | |||||||||
(2)刑事裁判における陪審制度の採用に対する意見 | |||||||||
・調査対象 | |||||||||
(1) 母集団 | 東京都区内居住の大学高専卒業者 | ||||||||
(2) 標本数 | 592 | ||||||||
(3) 抽出方法 | 比例確率抽出法 | ||||||||
・調査時期 | |||||||||
昭和32年9月20日〜昭和32年9月24日 | |||||||||
・調査方法 | |||||||||
面接法及び記入法を併用 | |||||||||
・調査機関 | |||||||||
社団法人 興論科学協会 | |||||||||
・回収結果 | |||||||||
(1) 有効回収数(率) | 426人(72%) | ||||||||
(2) 調査不能数(率) | 166人(28%) | ||||||||
−欠票内訳− |
転居 | 79 | 不在 | 22 | 拒否 | 37 | ||||
病気 | 8 | 旅行中 | 18 | 帰省 | 2 | ||||
計166 |
調査票
Q1 | 裁判が遅れるという声もあり,また事件によって非常に早く済んでいるという見方もあります。新聞などをお読みになった感じとして全般的に見た場合に日本の刑事裁判の審理のスピードについて,どういう印象をお持ちですか。 |
(2.6) | 早すぎる。 | ||
(16.9) | 適当である。 | ||
(55.4) | 遅い。 | ||
(15.5) | 非常に遅い。 | ||
(9.6) | わからない。 |
Q2 | 裁判の結果については,いろいろの批判がありますがあなたが新聞をお読みになったり又人からおききになった事件を通して日本の刑事裁判は,真相をつかんで行われていると思いますか。 |
(8.9) | よくつかんでいる。 | →Q3へ | ||
(65.5) | だいたいよくつかんでいる。 | →Q3へ | ||
(…) | よくつかんでいない。 | →SQへ | ||
(6.2) | わからない。 | →Q3へ |
SQ | よくつかんでいない。(この答えをえらんだ方は,どのようなわけでそうお考えになるかについて,次のア,イ,ウのうち適当と思われるものに○印をつけて下さい。 |
(7.5) | ア 無実の者が罪におちいることが多い。 | ||
(9.9) | イ 悪人が罪をまぬがれることが多い。 | ||
(1.9) | ウ その他(記入) |
Q3 | 刑罰が重いか,軽いかは個々の事件について,それぞれ考えなければならないことは勿論ですが,新聞などに報道される事件を全般的に見た場合,日本の刑事裁判で言渡される刑罰の重さについて適当とお感じになりますか。それとも適当でないとお感じになりますか。 |
(36.4) | 適当。 | →Q4へ | ||
(48.6) | 適当でない。 | →SQへ | ||
(14.8) | わからない。 | →Q4へ |
SQ | (適当でないとお感じになる場合には)重すぎるとお感じになりますか,軽すぎるとお感じになりますか。 |
(0.7) | 大へん重すぎる。 | ||
(1.2) | やや重すぎる。 | ||
(25.6) | 重すぎる場合も軽すぎる場合もある。 | ||
(10.8) | やや軽すぎる。 | ||
(10.3) | 大へん軽すぎる。 |
Q4 | 戦前に比べると日本の刑事裁判のやり方が民主的になったといわれますが,一方まだまだそうでないという意見もあるようです。あなたは現在の日本の刑事裁判のやり方がどの程度民主的であると思いますか。 |
(9.9) | 非常に民主的になっている。 | ||
(59.1) | だいたい民主的になっている。 | ||
(9.4) | あまり民主的になっていない。 | ||
(15.5) | まだまだ民主的になっていない。 | ||
(6.1) | わからない。 |
Q5 | 日本の刑事裁判では被告人の人権は十分に尊重されていると思いますか。それとも尊重されていないと思いますか。 |
(7.7) | 非常に尊重されている。 | ||
(48.7) | よく尊重されている。 | ||
(31.7) | あまり尊重されていない。 | ||
(0.7) | 全然尊重されていない。 | ||
(1.6) | その他 | ||
(9.6) | わからない。 |
Q6 | 日本の刑事裁判官を全般的にみてあなたは信頼できますか。それとも信頼できませんか。(全般的というのは,例えば能力,学識,人格,社会意識や常識の点を総合してみてという意味です。) |
(10.1) | 大いに信頼できる。 | ||
(73.4) | だいたい信頼できる。 | ||
(12.9) | あまり信頼できない。 | ||
(0.5) | 全く信頼できない。 | ||
(3.1) | わからない。 |
Q7 | 裁判官は公正を重んじ四囲の情勢によって動かされたり,えこひいきしたりしてはならないとされています。全般的に見て日本の刑事裁判官は被告人の地位,身分,財産,思想などによって影響されることがあると思いますか。ないと思いますか。 |
(5.9) | 全く影響されない。 | ||
(27.5) | 殆んど影響されない。 | ||
(46.4) | 少し影響される。 | ||
(15.3) | 大いに影響される。 | ||
(4.9) | わからない。 |
Q8 | 一般的にいって犯罪の被害者やその家族達は,日本の刑事裁判に満足していると思いますか。 |
(1.4) | 非常に満足している。 | ||
(32.4) | だいたい満足している。 | ||
(27.0) | あまり満足していない。 | ||
(4.5) | 非常に不満である。 | ||
(34.7) | わからない。 |
Q9 | あなた自身や家族,友人,知人の中で犯罪の被害をうけた方がいらっしゃいますか。 |
(30.8) | ある | →SQへ | ||
(69.2) | 全然ない | →Q10へ |
SQ | ある(ここでは二つ以上の○印をおつけになってもかまいません) |
(49.6) | 私自身(どんな被害ですか記入 ) | ||
(19.8) | 家族(どんな被害ですか記入 ) | ||
(14.5) | 親戚(どんな被害ですか記入 ) | ||
(38.9) | 友人・知人(どんな被害ですか記入 ) |
Q10 | あなたは裁判所から証人に呼ばれた場合,すすんで出かける気になりますか。 |
(48.8) | すすんで出かける気になる。 | ||
(43.7) | しかたがないと思う。 | ||
(2.1) | 全くゆく気がない。 | ||
(0.7) | その他 | ||
(4.7) | わからない。 |
Q11 | 証人の日当はどのくらいか御存知ですか。 |
(0.5) | 知っている( 円) | ||
(9.4) | よくは知らない(が 円くらいと思う) | ||
(90.1) | 知らない |
Q12 | 一般に証人が裁判所に出ることをきらうとすればどんな理由からだと思いますか。(○印をいくつつけてもかまいません。)(M.A.) |
(31.3) | 何となくおっくうだ。 | ||
(7.3) | 人前に出るのがはずかしい。 | ||
(25.1) | なれない場所に出るのがいやだ。 | ||
(45.3) | 長く待たされるのがいやだ。 | ||
(11.0) | 旅費や日当が安い。 | ||
(14.3) | 親切にあつかってくれない。 | ||
(53.8) | かかわりあいになりたくない。 | ||
(38.0) | 御難をおそれる。 | ||
(5.2) | 被告人から尋問されるのがいやだ。 | ||
(7.7) | らんぼうな言葉や態度で尋問される。 | ||
(7.7) | けいべつ的な言葉や態度で尋問される。 | ||
(15.5) | 警察,検察庁でしらべられたのに同じことで裁判所によばれるのはめんどうくさい。 | ||
(36.4) | 裁判所のふんいきが重くるしい | ||
(25.6) | 何をきかれるかわからないので,何となく不安だ。 | ||
(5.9) | その他の理由(簡単に記入して下さい。) |
Q13 | 近ごろ刑事裁判について,いろいろ批判があるように見受けられますが制度とその運用とを総合的に評価した場合に日本の刑事裁判が全体としてうまく行われていると思いますか。 |
(1.9) | たいへんうまくいっている。 | ||
(21.8) | うまくいっている。 | ||
(49.8) | 普通である。 | ||
(14.3) | うまくいっていない。 | ||
(−) | たいへんわるい。 | ||
(0.2) | その他 | ||
(12.0) | わからない。 |
Q14 | 日本以外の国では民間人をまじえて刑事裁判を行う国もありますが,日本では現在専門の裁判官だけによって刑事裁判が行われています。あなたはどちらのやり方がよいと思いますか。 |
(36.1) | 専門の裁判官だけの方がよい。 | ||
(52.0) | 専門の裁判官以外に民間人も交えた方がよい。 | ||
(0.2) | その他 | ||
(11.7) | わからない。 |
Q15 | 日本の刑事裁判に民間人を参与させることとすればどうすればよいでしょうか。 民間人を参与させる事は |
(16.0) | なるべく早く実現するのがのぞましい。 | ||
(27.5) | 十分な準備期間をおいて実現するのがのぞましい。 | ||
(42.9) | よく研究してみるべきだ。 | ||
(8.2) | のぞましくない。 | ||
(5.4) | わからない。 |
Q16 | 今日世界各国で行われている刑事裁判の制度を大きくわけると職業裁判官制,参審裁判制,陪審裁判制の三つに分ける事が出来ます。これらの制度には,それぞれ長短があり,各国の文化や国民性を考え合わせてきめなければならないと言われていますが,あなたはどの制度を基本とするのが一番のぞましいと思いますか。(各制度についての概略の説明は次頁※印を御覧下さい。) |
(29.6) | 職業裁判官制 | ||
(42.3) | 参審裁判制 | ||
(16.2) | 陪審裁判制 | ||
(0.9) | その他の御意見を御記入下さい。( ) | ||
(11.0) | わからない。 |
Q17 | 今迄の質問でお答え下さった他,我が国の刑事裁判制度の現状又は改革について御意見がありましたら何でも結構ですからお答え下さい。(M.A.) |
(9.4) | 権力に左右されるような不公正な裁判はしないでほしい | ||
(6.1) | 審理のスピード化をのぞむ | ||
(3.3) | 殺人などの重罪には死刑を存置すべきだ | ||
(2.6) | 保釈制度に再検討をのぞむ | ||
(2.3) | 法そのものを修正すべき時期である | ||
(1.9) | 一般に刑が軽すぎる | ||
(1.6) | 裁判に対する認識を深める様な方策を考えてほしい | ||
(1.6) | 裁判官を優遇せよ | ||
(1.6) | 汚職はもっと徹底した追及をなし厳処すべし | ||
(1.4) | 裁判官にもっと立派な人を選んでほしい | ||
(1.4) | 我が国では参審裁判制が適している | ||
(1.4) | 証人の取扱いが不親切である,もっと保護すべし | ||
(1.4) | 警察官刑事の教育が先ず必要 | ||
(1.1) | 裁判に民間人を参加させよ | ||
(0.9) | 裁判官を増員せよ | ||
(0.9) | 受刑者再生の道をつくってほしい | ||
(0.9) | 死刑は廃止せよ | ||
(0.9) | 酔漢の犯罪も厳罰にすべし | ||
(0.9) | 政治犯を公正に取扱え | ||
(0.9) | 裁判における封建的な面を改めよ | ||
(0.7) | 黙秘権を制限廃止せよ | ||
(0.7) | ごう問は廃止すべきだ | ||
(0.7) | 成年扱いは18才からすべきだ | ||
(0.7) | 常習犯は長期の懲役にせよ | ||
(0.7) | 司法権の独立を強化してほしい | ||
(0.7) | 現在の裁判は日本の国民性に合わない | ||
(0.7) | 裁判には金のかからぬ様にしてほしい | ||
(0.5) | あまり物的証拠を重視しすぎる | ||
(0.5) | 外国人の犯罪に対しても手心を加えるな | ||
(8.5) | その他 | ||
(60.3) | 特に意見なし |
(M.T.=)
<フェース・シート>
F1 |
(…) | 男 | ||
(…) | 女 |
F2 | 〔年令別〕 |
(24.9) | 20代 | ||
(32.7) | 30代 | ||
(20.4) | 40代 | ||
(22.0) | 50才以上 |
F3 | あなたの御職業 |
(45.6) | 事務従事者 | ||
(1.2) | 労務者 | ||
(13.8) | 商工業 | ||
(16.2) | 自由業 | ||
(0.5) | 農業 | ||
(13.6) | 主婦 | ||
(2.3) | 学生 | ||
(6.8) | 無職 |
F4 | 〔学歴〕 |
(31.0) | 旧制大学卒 | ||
(16.4) | 新制大学卒 | ||
(47.5) | 旧制高,専卒 | ||
(3.5) | 短大卒 | ||
(1.6) | それ以外( ) |