世論調査報告書
内閣府政府広報室
調査の概要
・調査対象 | |||||||||
(1) 母集団 | 全国32都市の満25才以上の男女 | ||||||||
(2) 標本数 | 1,200 | ||||||||
(3) 抽出方法 | 層化無作為抽出法 | ||||||||
・調査時期 | |||||||||
昭和25年3月15日〜昭和25年3月28日 | |||||||||
・調査方法 | |||||||||
自由質問回答法による面接調査 | |||||||||
・回収結果 | |||||||||
(1) 有効回収数(率) | 1,088人(90.7%) | ||||||||
(2) 調査不能数(率) | 112人(9.3%) |
調査票
I 青少年不良化の原因と特質
Q1 | 〔青少年不良化の原因〕 近頃御承知のように青年や少年の犯罪や家出がふえて戦前の3,4倍にもなっています。このように不良化するのは必ずしも生活に困まったり,お小遣がないためとは思えないのですが,どこに原因があるとお考えになりますか。(M.A.) (不良化の原因について戦後の混乱とか世相の頽廃というのでなく,直ちに“家庭”にあると回答するものはどの位か。) | |||||||||||||||||||||
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(M.T.=143.7) |
Q2 | 〔戦後不良化の特質〕 この人達の困ったことは特に強盗,殺人,強姦というような凶悪な犯罪を平気でするような人が多く,それも戦前の10倍にもなっています。こんな事をするのはどうしてだと思いますか。(M.A,) (戦争が与えた道徳的影響に気がついているかどうか,あるいは戦後社会態制の未整備のためか,単なる経済的な面を強調するか。) | |||||||||||||||||||||
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(M.T.=135.5) |
Q3 | (戦後派,アプレゲール) 戦時中から戦後にかけて大きくなった青少年というのは,戦前の子供とどこか違うというようなことをお感じになりますか。 (どういう点が違っていますか。) (いわゆる戦後派,アプレゲールを戦前のものと別のものとして意識しているかどうか。) | |||||||||||||||
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Q4 | 〔戦後派への評価〕 そのような傾向をどうお考えになりますか。 (意識しているとすればそれを“よい”と考えているか,“悪い”と考えているか。 (N=960) | ||||||||||||||||||
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Q5 | 〔学生アルバイト〕 いま大抵の学生が働きながら勉強しているのを「金にきたない」とか「面白半分だ」と却って評判がわるいのですが,この働きながら勉強するというようなことを,どう思いますか。 (戦後青少年に芽生えた自主独立性をどう考え評価しているか。) | ||||||||||||||||||
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Q6 | 〔新しい世代のモラルの建設〕 いまはまだ衣・食・住が不足がちで困るのですが,やがて落着いて来たら,いまの若い人達の考え方もしっかりしたものが出来上って来ると思いますか。 (旧道徳に代る何か新しいものの確立を意識しているか。あるいはその確立を望んでいるか。 | |||||||||||||||
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II 家庭教育
Q7 | 〔家庭教育の戦前と戦後〕 一般に家の“しつけ”ということで戦時中と比べて変ったという点で何かお気付きのことはありませんか。(どういうふうに変ったでしょうか。) (“家”の崩壊は“しつけ”にどんな影響をもたらしたか,それに気がついているか。) | |||||||||||||||
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※ | 〔学童の有無〕 お宅では小学校,中学校,高等学校に行っているお子さんがいらっしゃいますか。 (本人の子・孫・弟・妹等生計を共にする同一世帯内にいる学童はすべて含む。)) |
〔学童があるものにのみQ8〜Q11〕
Q8 | 〔課外読物〕 お宅ではお子さんの課外読物等はどうされていますか,お子さんが自由に選択されるわけですか。 (N=543) | |||||||||||||||
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Q9 | 〔青少年の戦後派たることへの意識〕 お宅では子供さんと意見が合わなかったり,どうもお子さんの考え方がよくわからないというようなことはありませんか。 〔ある者に〕例えば具体的に言ってどんなことですか。 (自分の子供を戦争をピークとした時代的,社会的な流れのうちに眺めているかどうか。) (N=543) | ||||||||||||
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Q10 | 〔小遣〕 お子さんのお小遣などはどうされますか。 (N=543) | ||||||||||||
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Q11 | 〔しつけの重点〕 お宅ではお子さんのしつけということで時にこういう点に気をつけているというようなことはありませんか。(M.A.) 〔あるものに〕どんなことですか。 〔時に家庭における青少年の人格の形成という面に気がついているかどうか。〕 | |||||||||||||||
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(M.T.=105.3) |
Q12 | 〔親と先生〕 一般に言って子供は親と学校の先生と,どちらの言うことをよく聞くと思われますか。 | ||||||||||||
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Q13 | 〔自由と干渉〕 どちらかといえば,どうでしょう。家の中ではお子さんを自由においた方がいいでしょうか,それとも干渉した方がいいとお考えになりますか。 | ||||||||||||
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III 学校教育
Q14 | 〔家庭教育の学校への依存〕 どうも日本では昔から子供の躾ということを学校に任せっきりという親が多かったと思いますが,どうしてだったと思いますか。(M.A.) (戦前の“家”における子弟の躾は意識的に放任されていたことに気がついているかどうか。) | |||||||||||||||
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(M.T.=111.3) |
Q15 | 〔学校の功罪〕 あなたの学校生活や先生のことで,こういう点だけは教えられてよかったと一番印象に残っておられるのはどんなことですか。 (戦前の精神教育,又いわゆる儒教主義的な“先生”への追憶の程度) | |||||||||||||||
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(Q16〜Q18は小,中,高の子供のあるものに,Q8〜Q11を訊ねたものに)
Q16 | 〔学校の功罪−父兄として〕 子供さんが学校から却って悪いことを覚えてくるというようなことはありませんか。 (あるものに)どんなことですか。 (N=543) | |||||||||||||||
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Q17 | 〔責任の学校えの轉嫁〕 近頃の不良少年をごらんになってその原因の一部は学校や先生にあるとお考えになるようなことがありますか。 (あるものに)どんなことですか。 |
Q18 | 〔社会科〕 近頃学校では“社会科”などで社会見学が盛んに行われたりするようですが,お子さんのためにはどう思いますか。 (N=543) | |||||||||||||||
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Q19 | 〔新しい教育〕 戦後の学校のやり方がすっかり変ってしまったのですが,戦前と比べて今の学校のやり方についてどう思われますか。 (N=543) | ||||||||||||||||||
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Q20 | 〔修身と作法〕 昔は「修身」という授業があり女の子には特に「作法」の時間があったのですが,こういう授業は今の学校ではどうなっていると思いますか。やはりあった方がよいと思いますか。 |
Q21 | 〔人格(精神)教育と智育〕 学校では勿論人格をみがくのも,知識を向上するのも両方必要ですが,どちらかといえばどちらに重点を置くべきだとお考えになりますか。 | |||||||||||||||
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Q22 | 〔天才教育〕 世の中は天才によって進歩するという人もおりますが,例えば50人のクラスに5,6人の秀才がいたとしますと,この5,6人の秀才を目標にして教育すべきでしょうか,それとも残りの44,5人を目標に教育すべきでしょうか。 | |||||||||||||||
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IV 一連の国家施策
Q23 | 〔児童委員,児童福祉司,少年保護委員〕 戦後政府では青少年の福祉ということから児童委員,児童福祉司をおき,また犯罪少年のために少年保護委員というのを設けたのですが,御存知でしょうか。 (知っているものに)何んでお知りになりましたか,どんなことをするものか御存知ですか。 | |||||||||
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(Q23で知っているものに)
Q24 | (積極的意見) これらの人にこうして欲しいという御注文,御意見はありませんか。 (N=731) | ||||||||||||||||||
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Q25 | 〔犯罪不良少年の対策〕 どうでしょう,近頃の犯罪不良青少年にはどうしたらよいと思いますか。(M.A.) (対策の責任を学校(先生)社会(世間)にどの程度転嫁するか) | |||||||||||||||||||||||||||
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(M.T.=121.7) |
Q26 | (粗悪な文化財) 近頃マンガや紙芝居,雑誌,映画などの中で教育に悪いものがあるという人もいるのですが,あなたはどう思われますか,ああいうものはほうっておいても一時の流行で,やがて自然になくなってしまうものだとお考えになりますか,それとも取締らぬ限り益々広がって行くでしょうか。 | |||||||||||||||
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Q27 | 〔保護救済施設と社会文化教育〕 犯罪青少年のために国ではいろいろな施設を設けて保護更正をはかっております一面,乏しい予算ですが遊園地や公民館・図書館を作って不良化防止のために社会教育にも力を入れているのですが,どちらかといえばいまどちらに重点を置くべきでしょうか。 (勿論両方とも必要ですが)(不良青少年保護か,不良化防止か) | ||||||||||||
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V 青少年への関心
Q28 | 〔青少年への関心〕 不良化して犯罪を犯したような青少年は,何んとも仕方のないものでしょうか,それともどうしても救わねばならないものでしょうか。 (救えると考えているか,捨てるべきだと考えているか) | |||||||||||||||
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Q29 | 〔再び経済的との関連〕 これから先も益々青少年の不良化はひどくなるでしょうか,それともやがて皆の生活も安定してくるならば自然におさまってしまうものでしょうか。 | |||||||||||||||
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〔Q29で自然と治るというものに〕
Q30 | 〔若い世代への影響〕 今この不良化した青少年の影響は,後につづくもっと年の若い人達にどんな影響を及ぼすでしょうか,それとも大したこともないでしょうか。 (N=881) | |||||||||||||||
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