３．国連における日本の役割
（１） 国連平和維持活動への参加についての考え方
現在，世界の100以上の国が国連平和維持活動（国連ＰＫＯ）に要員を派遣しており，日本も国際平和協力法に基づき，カンボジア，ゴラン高原，東ティモール，ハイチ，南スーダンなどの国連ＰＫＯや，イラク難民支援などのための人道的な国際救援活動や，東ティモールやネパールなどでの国際的な選挙監視活動に参加してきているが，日本はこれからも，国際社会への人的貢献として，こうした活動に参加すべきと考えるか聞いたところ，「これまで以上に積極的に参加すべきだ」と答えた者の割合が25.5％，「これまで程度の参加を続けるべきだ」と答えた者の割合が55.5％，「参加すべきだが，出来るだけ少なくすべきだ」と答えた者の割合が11.5％，「参加すべきではない」と答えた者の割合が1.7％となっている。
前回の調査結果（平成25年10月調査結果をいう）と比較して見ると，「これまで以上に積極的に参加すべきだ」（30.5％→25.5％）と答えた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると，「参加すべきだが，出来るだけ少なくすべきだ」と答えた者の割合は小都市で高くなっている。
性別に見ると，「これまで以上に積極的に参加すべきだ」と答えた者の割合は男性で，「参加すべきだが，出来るだけ少なくすべきだ」と答えた者の割合は女性で，それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると，「これまで程度の参加を続けるべきだ」と答えた者の割合は30歳代で，「参加すべきだが，出来るだけ少なくすべきだ」と答えた者の割合は70歳以上で，それぞれ高くなっている。（図２４，図２５，表１７－１（CSV形式：1KB）
，表１７－２（CSV形式：2KB））
（２） 国連安全保障理事会の常任理事国入りについての賛否
国連では，安全保障理事会（安保理）の機能を強化するとともに，安保理における各地域の代表性を高めるために，構成国数を増加する方向で議論がすすめられているが，日本が安保理の常任理事国に加わることについてどう考えるか聞いたところ，「賛成」とする者の割合が75.7％（「賛成」35.2％＋「どちらかといえば賛成」40.5％），「反対」とする者の割合が9.4％（「どちらかといえば反対」7.2％＋「反対」2.2％）となっている。なお，「わからない」と答えた者の割合が14.9％となっている。
前回の調査結果（平成25年10月調査結果をいう）と比較して見ると，「賛成」（82.3％→75.7％）とする者の割合が低下している。
性別に見ると，「賛成」とする者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると，「賛成」とする者の割合は30歳代から50歳代で高くなっている。（図２６，図２７，表１８－１（CSV形式：1KB），表１８－２（CSV形式：2KB））
ア 日本の常任理事国入りに賛成する理由
日本の常任理事国入りに「賛成」とする者（1,363人）に，賛成する理由を聞いたところ，「世界における日本の地位からすると，世界の平和構築のために積極的に参画していくべきだ」と答えた者の割合が27.5％，「日本は国連に多大の財政的貢献を行っているのに，重要な意思決定に加われないのはおかしい」と答えた者の割合が25.8％，「非核保有国で平和主義を理念としている日本が加わることが世界の平和に役立つ」と答えた者の割合が23.7％，「安全保障に関する国連の重要な意思決定に我が国の考えを反映させることができる」と答えた者の割合が13.6％，「アジアの一代表として安保理常任理事国になることで，国連の場をより地域的に偏りのないものにすることに役立てる」と答えた者の割合が7.9％となっている。
前回の調査結果（平成25年10月調査結果をいう）と比較して見ると，大きな変化は見られない。
性別に見ると，「日本は国連に多大の財政的貢献を行っているのに，重要な意思決定に加われないのはおかしい」と答えた者の割合は男性で，「非核保有国で平和主義を理念としている日本が加わることが世界の平和に役立つ」と答えた者の割合は女性で，それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると，「日本は国連に多大の財政的貢献を行っているのに，重要な意思決定に加われないのはおかしい」と答えた者の割合は70歳以上で，「非核保有国で平和主義を理念としている日本が加わることが世界の平和に役立つ」と答えた者の割合は20歳代で，「安全保障に関する国連の重要な意思決定に我が国の考えを反映させることができる」と答えた者の割合は40歳代で，それぞれ高くなっている。（図２８，表１９－１（CSV形式：2KB），表１９－２（CSV形式：1KB），表１９参考（CSV形式：2KB））
イ 日本の常任理事国入りに反対する理由
日本の常任理事国入りに「反対」とする者（170人）に，反対する理由を聞いたところ，「安保理常任理事国になれば，国連の軍事活動に積極的に参加しなければならなくなる」と答えた者の割合が30.0％，「安保理常任理事国になると，国連に対し，これまで以上の財政的負担を負わなければならなくなる」と答えた者の割合が21.8％，「安保理常任理事国にならなくとも，経済・社会分野や環境問題などの非軍事的分野で十分な国際貢献を行っていける」と答えた者の割合が18.2％，「世界の紛争解決に安保理は無力だ」と答えた者の割合が15.3％，「安保理常任理事国になるのであれば，憲法を改正した上でなるべきだ」と答えた者の割合が5.3％となっている。
前回の調査結果（平成25年10月調査結果をいう）と比較して見ると，大きな変化は見られない。（図２９，表２０－１（CSV形式：2KB），表２０－２（CSV形式：1KB），表２０参考１（CSV形式：1KB），表２０参考２（CSV形式：2KB））
