2 調査結果の概要
- 非行の原因について
(1)非行の大きな原因
ア) 非行にはいろいろな原因があると言われているが,その大きな原因は何だと思うか20歳未満の者に聞いたところ,「家庭環境」を挙げた者の割合が63.5%と最も高く,以下,「本人自身の性格や資質」(36.3%),「友人環境」(27.5%),「学校生活」(25.3%),「社会環境(社会の風潮,政治など)」(22.6%)などの順となっている。(複数回答,図6)
性別に見ると,「家庭環境」を挙げた者の割合は女性で,「本人自身の性格や資質」を挙げた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
学校区分別に見ると,「家庭環境」を挙げた者の割合は高校の女子で,「本人自身の性格や資質」を挙げた者の割合は高校の男子で,「学校生活」を挙げた者の割合は中学の女子で,それぞれ高くなっている。(表6−1)
イ) 同様の質問を20歳以上の者に聞いたところ,「家庭環境」を挙げた者の割合が74.3%と最も高く,以下,「本人自身の性格や資質」(41.4%),「社会環境(社会の風潮,政治など)」(36.2%),「友人環境」(32.1%),「地域社会(地域住民同士の交流のなさなど)」(18.8%),「学校生活」(17.9%)の順となっている。(複数回答,図6)
平成元年11月調査と比較して見ると,「本人自身の性格や資質」(44.6%→41.4%),「友人環境」(39.2%→32.1%)を挙げた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,「家庭環境」,「友人環境」を挙げた者の割合は中都市で,「社会環境(社会の風潮,政治など)」を挙げた者の割合は大都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「家庭環境」,「本人自身の性格や資質」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「本人自身の性格や資質」を挙げた者の割合は30歳代で,「社会環境(社会の風潮,政治など)」,「地域社会(地域住民同士の交流のなさなど)」を挙げた者の割合は40歳代で,「友人環境」を挙げた者の割合は60歳代で,それぞれ高くなっている。
子供の有無等別に見ると,「家庭環境」を挙げた者の割合は学校を卒業した子供のいる者で,「本人自身の性格や資質」を挙げた者の割合は乳幼児のいる者で,「社会環境(社会の風潮,政治など)」を挙げた者の割合は学生のいる者で,「地域社会(地域住民同士の交流のなさなど)」を挙げた者の割合は乳幼児のいる者,学生のいる者で,それぞれ高くなっている。 (表6−2)
ウ) 20歳未満の者に聞いた結果のうち上位の項目について,20歳以上の者に聞いた結果と比較して見ると,「家庭環境」,「本人自身の性格や資質」,「友人環境」,「社会環境(社会の風潮,政治など)」を挙げた者の割合は20歳以上の者で,「学校生活」を挙げた者の割合は20歳未満の者で,それぞれ高くなっている。(図6)(2)少年自身の問題
ア) 同世代の人達について,何か問題だと思う点があるか20歳未満の者に聞いたところ,「自己中心的である」を挙げた者の割合が40.4%,「自分の感情をうまくコントロールできない」を挙げた者の割合が40.2%と高く,以下,「忍耐力がなく,我慢ができない」(36.1%),「人の痛みを感じない」(32.6%)などの順となっている。(複数回答,図7)
平成10年4月調査と比較して見ると,「自己中心的である」(33.0%→40.4%)を挙げた者の割合が上昇している。
都市規模別に見ると,「人の痛みを感じない」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「自分の感情をうまくコントロールできない」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
学校区分別に見ると,「自己中心的である」,「自分の感情をうまくコントロールできない」を挙げた者の割合は高校の女子で,「忍耐力がなく,我慢ができない」を挙げた者の割合は高校の男子で,それぞれ高くなっている。(表7−1)
イ) 同様の質問を20歳以上の者に聞いたところ,「忍耐力がなく,我慢ができない」を挙げた者の割合が62.9%と最も高く,以下,「自己中心的である」(55.1%),「人の痛みを感じない」(48.8%),「自分の感情をうまくコントロールできない」(47.3%)などの順となっている。 (複数回答,図7)
平成10年4月調査と比較して見ると,「忍耐力がなく,我慢ができない」(67.0%→62.9%)を挙げた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,「自分の感情をうまくコントロールできない」を挙げた者の割合は中都市で高くなっている。
年齢別に見ると,「忍耐力がなく,我慢ができない」を挙げた者の割合は50歳代,60歳代で,「自己中心的である」を挙げた者の割合は40歳代で,「人の痛みを感じない」を挙げた者の割合は30歳代から50歳代で,「自分の感情をうまくコントロールできない」を挙げた者の割合は30歳代で,それぞれ高くなっている。
子供の有無等別に見ると,「忍耐力がなく,我慢ができない」を挙げた者の割合は学校を卒業した子供がいる者で,「自己中心的である」,「人の痛みを感じない」,「自分の感情をうまくコントロールできない」を挙げた者の割合は学生がいる者で,それぞれ高くなっている。 (表7−2)
ウ) 20歳未満の者に聞いた結果のうち上位の項目について,20歳以上の者に聞いた結果と比較して見ると,「自己中心的である」,「自分の感情をうまくコントロールできない」,「忍耐力がなく,我慢ができない」,「人の痛みを感じない」を挙げた者の割合は20歳以上の者で高くなっている。(図7)(3)社会環境の問題
ア) 非行を招くような社会環境について,何か問題だと思う点があるか20歳未満の者に聞いたところ,「少年でも簡単に刃物などを手に入れられる環境である」を挙げた者の割合が41.6%と最も高く,以下,「テレホンクラブ・ツーショットダイヤル・出会い系サイトなどの氾濫」(32.6%),「酒,タバコなどの自動販売機が多い」(29.2%),「暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物の氾濫」(23.2%),「携帯電話の普及」(22.4%)などの順となっている。 (複数回答,図8)
都市規模別に見ると,「少年でも簡単に刃物などを手に入れられる環境である」,「テレホンクラブ・ツーショットダイヤル・出会い系サイトなどの氾濫」,「暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物の氾濫」を挙げた者の割合は大都市で,「酒,タバコなどの自動販売機が多い」を挙げた者の割合は小都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「テレホンクラブ・ツーショットダイヤル・出会い系サイトなどの氾濫」を挙げた者の割合は女性で,「酒,タバコなどの自動販売機が多い」を挙げた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
学校区分別に見ると,「少年でも簡単に刃物などを手に入れられる環境である」を挙げた者の割合は中学の女子で,「テレホンクラブ・ツーショットダイヤル・出会い系サイトなどの氾濫」,「暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物の氾濫」を挙げた者の割合は高校の女子で,「酒,タバコなどの自動販売機が多い」を挙げた者の割合は中学の男子で,それぞれ高くなっている。(表8−1)
イ) 同様の質問を20歳以上の者に聞いたところ「テレホンクラブ・ツーショットダイヤル・出会い系サイトなどの氾濫」を挙げた者の割合が48.5%と最も高く,以下,「携帯電話の普及」(44.2%),「暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物の氾濫」(42.9%),「コンビニエンスストア,カラオケボックスなどが深夜まで営業している」(38.9%),「酒,タバコなどの自動販売機が多い」(31.7%)などの順となっている。(複数回答,図8)
都市規模別に見ると,「テレホンクラブ・ツーショットダイヤル・出会い系サイトなどの氾濫」を挙げた者の割合は中都市で,「暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物の氾濫」を挙げた者の割合は大都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「テレホンクラブ・ツーショットダイヤル・出会い系サイトなどの氾濫」,「携帯電話の普及」,「暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物の氾濫」,「コンビニエンスストア,カラオケボックスなどが深夜まで営業している」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「テレホンクラブ・ツーショットダイヤル・出会い系サイトなどの氾濫」を挙げた者の割合は30歳代から50歳代で,「暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物の氾濫」,「コンビニエンスストア,カラオケボックスなどが深夜まで営業している」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,「酒,タバコなどの自動販売機が多い」を挙げた者の割合は60歳代,70歳以上で,それぞれ高くなっている。
子供の有無等別に見ると,「テレホンクラブ・ツーショットダイヤル・出会い系サイトなどの氾濫」を挙げた者の割合は乳幼児のいる者,学生のいる者で,「携帯電話の普及」,「コンビニエンスストア,カラオケボックスなどが深夜まで営業している」,「酒,タバコなどの自動販売機が多い」を挙げた者の割合は学校は卒業した子供のいる者で,「暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物の氾濫」を挙げた者の割合は学生のいる者で,それぞれ高くなっている。 (表8−2,参考表8)
ウ) 20歳未満の者に聞いた結果のうち上位の項目について,20歳以上の者に聞いた結果と比較して見ると,「少年でも簡単に刃物などを手に入れられる環境である」を挙げた者の割合は20歳未満の者で,「テレホンクラブ・ツーショットダイヤル・出会い系サイトなどの氾濫」,「暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物の氾濫」,「携帯電話の普及」を挙げた者の割合は20歳以上の者で,それぞれ高くなっている。(図8)(4)社会風潮の問題
ア) 今の社会風潮について,何か問題だと思う点があるか20歳未満の者に聞いたところ,「夢や希望を持ちにくい社会である」を挙げた者の割合が26.1%,「少年を育てようとする気風や機会が大人に不足している」を挙げた者の割合が25.4%,「社会全般に心の豊かさや思いやりの心が失われている」を挙げた者の割合が24.2%,「学校生活になじめない少年の居場所がない」を挙げた者の割合が24.2%,「他人の子供に無関心である」を挙げた者の割合が24.0%,「薬物や売春などに対して,あまり厳しくない社会である」を挙げた者の割合が22.0%,「学歴偏重社会である」を挙げた者の割合が21.5%,「社会全般の規範意識(モラル)が低下している」を挙げた者の割合が21.0%などの順となっている。(複数回答,図9)
都市規模別に見ると,「少年を育てようとする気風や機会が大人に不足している」,「学歴偏重社会である」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「学校生活になじめない少年の居場所がない」,「他人の子供に無関心である」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
学校区分別に見ると,「夢や希望を持ちにくい社会である」を挙げた者の割合は高校の男子で,「学校生活になじめない少年の居場所がない」,「他人の子供に無関心である」,「学歴偏重社会である」を挙げた者の割合は高校の女子で,それぞれ高くなっている。(表9−1)
イ) 同様の質問を20歳以上の者に聞いたところ,「社会全般の規範意識(モラル)が低下している」を挙げた者の割合が49.1%と最も高く,以下,「他人の子供に無関心である」(44.4%),「社会全般に心の豊かさや思いやりの心が失われている」(41.7%),「少年を育てようとする気風や機会が大人に不足している」(35.8%),「家庭の教育力が相対的に低下する傾向にある」(32.3%)などの順となっている。(複数回答,図9)
都市規模別に見ると,「社会全般の規範意識(モラル)が低下している」,「社会全般に心の豊かさや思いやりの心が失われている」,「少年を育てようとする気風や機会が大人に不足している」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「他人の子供に無関心である」,「社会全般に心の豊かさや思いやりの心が失われている」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「社会全般の規範意識(モラル)が低下している」,「社会全般に心の豊かさや思いやりの心が失われている」,「家庭の教育力が相対的に低下する傾向にある」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,「他人の子供に無関心である」を挙げた者の割合は50歳代で,「少年を育てようとする気風や機会が大人に不足している」を挙げた者の割合は30歳代で,それぞれ高くなっている。
子供の有無等別に見ると,「社会全般の規範意識(モラル)が低下している」,「他人の子供に無関心である」,「社会全般に心の豊かさや思いやりの心が失われている」,「少年を育てようとする気風や機会が大人に不足している」を挙げた者の割合は学生のいる者で高くなっている。 (表9−2)
ウ) 20歳未満の者に聞いた結果のうち上位の項目について,20歳以上の者に聞いた結果と比較して見ると,「夢や希望を持ちにくい社会である」,「少年を育てようとする気風や機会が大人に不足している」,「社会全般に心の豊かさや思いやりの心が失われている」,「他人の子供に無関心である」,「社会全般の規範意識(モラル)が低下している」を挙げた者の割合は20歳以上の者で,「学校生活になじめない少年の居場所がない」を挙げた者の割合は20歳未満の者で,それぞれ高くなっている。(図9)
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