2 調査結果の概要
2. 死刑制度の存廃
(1) 死刑制度の存廃 死刑制度に関して,「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」,「場合によっては死刑もやむを得ない」という意見があるが,どちらの意見に賛成か聞いたところ,「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と答えた者の割合が8.8%,「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者の割合が79.3%となっている。なお,わからない・一概に言えないと答えた者の割合は11.9%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と答えた者の割合が低下(13.6%→8.8%)し,「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者の割合が上昇(73.8%→79.3%)している。
性別に見ると,「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者の割合が男性で高くなっている。
死刑の犯罪抑止力についての質問(死刑がなくなった場合,凶悪な犯罪が増えるという意見と増えないという意見があるがどのように考えるか)との関連で見ると,「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と答えた者の割合は,増えない,一概には言えないと答えた者で,「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者の割合は,増えると答えた者で,それぞれ高くなっている。(図2,表2)
前回の調査結果と比較して見ると,「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と答えた者の割合が低下(13.6%→8.8%)し,「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者の割合が上昇(73.8%→79.3%)している。
性別に見ると,「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者の割合が男性で高くなっている。
死刑の犯罪抑止力についての質問(死刑がなくなった場合,凶悪な犯罪が増えるという意見と増えないという意見があるがどのように考えるか)との関連で見ると,「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と答えた者の割合は,増えない,一概には言えないと答えた者で,「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者の割合は,増えると答えた者で,それぞれ高くなっている。(図2,表2)
ア 死刑制度を廃止する理由
「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と答えた者(316人)に,その理由を聞いたところ,「国家であっても人を殺すことは許されない」を挙げた者の割合が44.3%,「生かしておいて罪の償いをさせた方がよい」を挙げた者の割合が38.9%,「裁判に誤りがあったとき,死刑にしてしまうと取り返しがつかない」を挙げた者の割合が37.3%,「人を殺すことは刑罰であっても人道に反し,野蛮である」を挙げた者の割合が35.1%,「凶悪な犯罪を犯した者でも,更生の可能性がある」を挙げた者の割合が33.2%,「死刑を廃止しても,そのために凶悪な犯罪が増加するとは思わない」を挙げた者の割合が27.2%となっている。
前回の調査結果と比較してみると,「国家であっても人を殺すことは許されない」,「凶悪な犯罪を犯した者でも,更生の可能性がある」,「死刑を廃止しても,そのために凶悪な犯罪が増加するとは思わない」を挙げた者の割合が,それぞれ上昇(33.4%→44.3%,25.8%→33.2%,19.9%→27.2%)している。(複数回答 図3)
性別に見ると,「裁判に誤りがあったとき,死刑にしてしまうと取り返しがつかない」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。(表3)
前回の調査結果と比較してみると,「国家であっても人を殺すことは許されない」,「凶悪な犯罪を犯した者でも,更生の可能性がある」,「死刑を廃止しても,そのために凶悪な犯罪が増加するとは思わない」を挙げた者の割合が,それぞれ上昇(33.4%→44.3%,25.8%→33.2%,19.9%→27.2%)している。(複数回答 図3)
性別に見ると,「裁判に誤りがあったとき,死刑にしてしまうと取り返しがつかない」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。(表3)
イ 即時死刑廃止か,いずれ死刑廃止か
「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と答えた者(316人)に,死刑を廃止する場合には,すぐに全面的に廃止するのがよいと思うか,それともだんだんに死刑を減らしていって,いずれ廃止する方がよいと思うか聞いたところ,「すぐに,全面的に廃止する」と答えた者の割合が42.1%,「だんだん死刑を減らしていき,いずれ廃止する」と答えた者の割合が52.2%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,大きな変化は見られない。(図4,表4)
前回の調査結果と比較して見ると,大きな変化は見られない。(図4,表4)
ウ 死刑制度を存置する理由
「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者(2,855人)に,その理由を聞いたところ,「凶悪な犯罪は命をもって償うべきだ」を挙げた者の割合が49.3%,「死刑を廃止すれば,被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらない」を挙げた者の割合が48.6%,「死刑を廃止すれば,凶悪な犯罪が増える」を挙げた者の割合が48.2%,「凶悪な犯罪を犯す人は生かしておくと,また同じような犯罪を犯す危険がある」を挙げた者の割合が45.0%となっている。
前回の調査結果と比較してみると,「死刑を廃止すれば,被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらない」,「凶悪な犯罪を犯す人は生かしておくと,また同じような犯罪を犯す危険がある」を挙げた者の割合が,それぞれ上昇(40.4%→48.6%,33.9%→45.0%)している。(複数回答,図5)
性別に見ると,「凶悪な犯罪は命をもって償うべきだ」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。(表5)
前回の調査結果と比較してみると,「死刑を廃止すれば,被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらない」,「凶悪な犯罪を犯す人は生かしておくと,また同じような犯罪を犯す危険がある」を挙げた者の割合が,それぞれ上昇(40.4%→48.6%,33.9%→45.0%)している。(複数回答,図5)
性別に見ると,「凶悪な犯罪は命をもって償うべきだ」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。(表5)
エ 将来も死刑存置か
「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者(2,855人)に,将来も死刑を廃止しない方がよいと思うか,それとも,状況が変われば,将来的には,死刑を廃止してもよいと思うか聞いたところ,「将来も死刑を廃止しない」と答えた者の割合が56.5%,「状況が変われば,将来的には,死刑を廃止してもよい」と答えた者の割合が37.8%となっている。
前回の調査と比較して見ると,「将来も死刑を廃止しない」と答えた者の割合が上昇(53.2%→56.5%)している。
性別に見ると,「将来も死刑を廃止しない」と答えた者の割合は男性で,「状況が変われば,将来的には,死刑を廃止してもよい」と答えた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。(図6)
年齢別に見ると,「将来も死刑を廃止しない」と答えた者の割合は60歳以上で,「状況が変われば,将来的には,死刑を廃止してもよい」と答えた者の割合は30歳代,40歳代で,それぞれ高くなっている。(表6)
前回の調査と比較して見ると,「将来も死刑を廃止しない」と答えた者の割合が上昇(53.2%→56.5%)している。
性別に見ると,「将来も死刑を廃止しない」と答えた者の割合は男性で,「状況が変われば,将来的には,死刑を廃止してもよい」と答えた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。(図6)
年齢別に見ると,「将来も死刑を廃止しない」と答えた者の割合は60歳以上で,「状況が変われば,将来的には,死刑を廃止してもよい」と答えた者の割合は30歳代,40歳代で,それぞれ高くなっている。(表6)
(2) 死刑の犯罪抑止力
死刑がなくなった場合,凶悪な犯罪が増えるという意見と増えないという意見があるが,どのように考えるか聞いたところ,増えると答えた者の割合が54.4%,増えないと答えた者の割合が8.4%,一概には言えないと答えた者の割合が32.4%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,増えないと答えた者の割合が低下(12.0%→8.4%)している。
性別に見ると,増えると答えた者の割合は男性で高くなっている。
死刑制度の存廃についての質問との関連で見ると,増えると答えた者の割合は「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者で,増えない,一概には言えないと答えた者の割合は「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と答えた者で,それぞれ高くなっている。(図7,表7)
前回の調査結果と比較して見ると,増えないと答えた者の割合が低下(12.0%→8.4%)している。
性別に見ると,増えると答えた者の割合は男性で高くなっている。
死刑制度の存廃についての質問との関連で見ると,増えると答えた者の割合は「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者で,増えない,一概には言えないと答えた者の割合は「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と答えた者で,それぞれ高くなっている。(図7,表7)
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