5.がん患者と社会とのつながりについて
(1) がんであることを伝える対象
自身が,がんと診断されたら,家族や友人などだれか身近な人にがんのことを自由に話せると思うか聞いたところ,「話せると思う」とする者の割合が87.3%(「話せると思う」63.1%+「どちらかといえば話せると思う」24.1%),「話せると思わない」とする者の割合が11.9%(「どちらかといえば話せると思わない」7.9%+「話せると思わない」3.9%)となっている。
都市規模別に見ると,「話せると思わない」とする者の割合は小都市で高くなっている。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
年齢別に見ると,「話せると思わない」とする者の割合は20歳代で高くなっている。(図15,表15-1(CSV形式:2KB),表15-2(CSV形式:1KB))
(2) 仕事と治療等の両立についての認識
現在の日本の社会は,がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要がある場合,働きつづけられる環境だと思うか聞いたところ,「そう思う」とする者の割合が28.9%(「そう思う」10.4%+「どちらかといえばそう思う」18.5%),「そう思わない」とする者の割合が65.7%(「どちらかといえばそう思わない」38.2%+「そう思わない」27.5%)となっている。
前回調査と比較して見ると,「そう思わない」(68.9%→65.7%)とする者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,「そう思わない」とする者の割合は中都市で高くなっている。
性別に見ると,「そう思う」とする者の割合は男性で,「そう思わない」とする者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「そう思わない」とする者の割合は20歳代,40歳代で高くなっている。(図16,表16-1(CSV形式:2KB),表16-2(CSV形式:1KB))
ア 両立を困難にする最大の要因
日本の社会は通院しながら働き続けられる環境と思うかについて,「どちらかといえばそう思わない」,「そう思わない」と答えた者(1,182人)に,がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要がある場合,働き続けることを難しくさせている最も大きな理由は何か聞いたところ,「代わりに仕事をする人がいない,またはいても頼みにくいから」と答えた者の割合が22.6%,「職場が休むことを許してくれるかどうかわからないから」と答えた者の割合が22.2%,「休むと職場での評価が下がるから」と答えた者の割合が8.8%,「休むと収入が減ってしまうから」と答えた者の割合が13.1%,「がんの治療・検査と仕事の両立が体力的に困難だから」と答えた者の割合が17.9%,「がんの治療・検査と仕事の両立が精神的に困難だから」と答えた者の割合が13.2%となっている。
性別に見ると,「がんの治療・検査と仕事の両立が体力的に困難だから」と答えた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「代わりに仕事する人がいない,またはいても頼みにくいから」と答えた者の割合は30歳代で高くなっている。(図17,表17(CSV形式:3KB))