4.緩和ケアについて
(1) 緩和ケアの認知度
がん医療における緩和ケアとは,がんに伴う体と心の痛みを和らげることだが,がん医療における緩和ケアについて知っていたか聞いたところ,「知っている」とする者の割合が67.4%(「よく知っている」40.5%+「言葉だけは知っている」26.8%),「知らない」と答えた者の割合が31.8%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「知っている」(63.3%→67.4%)とする者の割合が上昇し,「知らない」(35.7%→31.8%)と答えた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,「知っている」とする者の割合は中都市で高くなっている。
性別に見ると,「知っている」とする者の割合は女性で,「知らない」と答えた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。(図11,表11-1(CSV形式:2KB),表11-2(CSV形式:1KB))
(2) 緩和ケアを開始すべき時期の認識
がんに対する緩和ケアはいつから実施されるべきものと思うか聞いたところ,「がんと診断されたときから」と答えた者の割合が57.9%,「がんの治療が始まったときから」と答えた者の割合が21.8%,「がんが治る見込みがなくなったときから」と答えた者の割合が13.9%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,大きな変化は見られない。
都市規模別に見ると,「がんと診断されたときから」と答えた者の割合は中都市で,「がんの治療が始まったときから」と答えた者の割合は町村で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「がんと診断されたときから」と答えた者の割合は20歳代,40歳代で,「がんが治る見込みがなくなったときから」と答えた者の割合は70歳以上で,それぞれ高くなっている。(図12,表12-1(CSV形式:2KB),表12-2(CSV形式:1KB))
(3) 医療用麻薬に対する意識
医療用麻薬についてどのような印象を持っているか聞いたところ,「正しく使用すればがんの痛みに効果的だと思う」を挙げた者の割合が55.7%,「正しく使用すれば安全だと思う」を挙げた者の割合が52.8%と高く,以下,「だんだん効かなくなると思う」(37.1%),「最後の手段だと思う」(32.6%)などの順となっている。(複数回答,上位4項目)
都市規模別に見ると,「正しく使用すればがんの痛みに効果的だと思う」を挙げた者の割合は中都市で高くなっている。
性別に見ると,「正しく使用すれば安全だと思う」を挙げた者の割合は男性で,「最後の手段だと思う」を挙げた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「正しく使用すればがんの痛みに効果的だと思う」,「だんだん効かなくなると思う」を挙げた者の割合は40歳代から60歳代で,「最後の手段だと思う」を挙げた者の割合は40歳代で,それぞれ高くなっている。(図13,表13(CSV形式:3KB))
(4) 医療用麻薬の使用に対する意識
がんのために痛みが生じ,医師から医療用麻薬の使用を提案された場合,医療用麻薬を使用したいと思うか聞いたところ,「使いたい」とする者の割合が72.3%(「使いたい」41.3%+「どちらかといえば使いたい」31.0%),「使いたくない」とする者の割合が24.6%(「どちらかといえば使いたくない」19.5%+「使いたくない」5.1%)となっている。
都市規模別に見ると,「使いたい」とする者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
年齢別に見ると,「使いたい」とする者の割合は60歳代で,「使いたくない」とする者の割合は20歳代,30歳代で,それぞれ高くなっている。(図14,表14(CSV形式:2KB))