5.養子をとることのできる年齢に関する意識
(1) 養子をとることのできる年齢に関する意識
民法では,成年,すなわち20歳に達した者は,養子をとることができ,現在,養子をとることができる年齢については,18歳に引き下げるべきであるという意見がある一方,20歳より高い年齢に引き上げるべきであるという意見もあるが,どのように考えるか聞いたところ,「18歳に引き下げるべきである」と答えた者の割合が5.9%,「現在のまま20歳とすべきである」と答えた者の割合が51.5%,「引き上げるべきである」と答えた者の割合が36.6%となっている。
都市規模別に見ると,「現在のまま20歳とすべきである」と答えた者の割合は町村で高くなっている。
性別に見ると,「現在のまま20歳とすべきである」と答えた者の割合は男性で,「引き上げるべきである」と答えた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
性・年齢別に見ると,「現在のまま20歳とすべきである」と答えた者の割合は男性の60歳代で,「引き上げるべきである」と答えた者の割合は女性の40歳代から70歳以上で,それぞれ高くなっている。(図13,表13-1(CSV形式:2KB),表13-2(CSV形式:1KB))
ア 引下げに賛成の理由
養子をとることのできる年齢について「18歳に引き下げるべきである」と答えた者(185人)に,養子をとることができる年齢を,18歳に引き下げるべきだと思った理由は何か聞いたところ,「18歳,19歳の者も結婚をすることができるから」を挙げた者の割合が48.1%,「自分自身で判断する能力が十分あるから」を挙げた者の割合が38.9%,「自分がしたことについて自分で責任をとることができるから」を挙げた者の割合が38.4%などの順となっている。(複数回答,上位3項目)
前回の調査結果と比較して見ると,大きな変化は見られない。(図14,表14-1(CSV形式:4KB),表14-2(CSV形式:1KB))
イ 現状のままにすべき理由
養子をとることのできる年齢について「現在のまま20歳とすべきである」と答えた者(1,607人)に,養子をとることができる年齢を,現在のままにすべきだと思った理由は何か聞いたところ,「20歳になれば,自分がしたことについて自分で責任をとることができる者も多いから」を挙げた者の割合が43.1%,「20歳になれば,自分自身で判断する能力が十分ある者も多いから」を挙げた者の割合が39.8%,「20歳になれば,社会人として最低限の学力・知識を身に付けている者も多いから」を挙げた者の割合が36.2%と高く,以下,「20歳になれば,経済的に自立をしている者も多いから」(23.0%)などの順となっている。なお,「特にない」と答えた者の割合が11.0%となっている。(複数回答,上位4項目)
前回の調査結果と比較して見ると,「20歳になれば,社会人として最低限の学力・知識を身に付けている者も多いから」(32.7%→36.2%)を挙げた者の割合が上昇し,「20歳になれば,経済的に自立をしている者も多いから」(26.3%→23.0%)を挙げた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,「20歳になれば,経済的に自立をしている者も多いから」を挙げた者の割合は小都市で高くなっている。
年齢別に見ると,「20歳になれば,自分自身で判断する能力が十分ある者も多いから」を挙げた者の割合は20歳代で,「20歳になれば,社会人として最低限の学力・知識を身に付けている者も多いから」を挙げた者の割合は60歳代で,それぞれ高くなっている。(図15,表15-1(CSV形式:4KB),表15-2(CSV形式:1KB))
ウ 引上げに賛成の理由
養子をとることのできる年齢について「引き上げるべきである」と答えた者(1,143人)に,養子をとることができる年齢を,現在の20歳よりも引き上げるべきだと思った理由は何か聞いたところ,「子育てに関する知識・理解が不十分であるから」を挙げた者の割合が74.3%と最も高く,以下,「自分自身で判断する能力が不十分であるから」(50.3%),「自分がしたことについて自分で責任をとることができないから」(50.2%),「経済的に親に依存をしているから」(41.4%)などの順となっている。(複数回答,上位4項目)
前回の調査結果と比較して見ると,「子育てに関する知識・理解が不十分であるから」(78.0%→74.3%)を挙げた者の割合が低下している。
性別に見ると,「子育てに関する知識・理解が不十分であるから」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。(図16,表16-1(CSV形式:4KB),表16-2(CSV形式:1KB))