2 調査結果の概要
2.地震対策に関する意識について
(1) 大地震に対する関心度の変化 阪神・淡路大震災のような大地震に対する関心がここ1〜2年ぐらいの間にどのように変化したか聞いたところ,「関心が高くなった」と答えた者の割合が56.1%,「変わらない」と答えた者の割合が35.1%,「関心が低くなった」と答えた者の割合が8.1%となっている。
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「関心が高くなった」と答えた者の割合は女性で,「変わらない」と答えた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「関心が高くなった」と答えた者の割合は50歳代で,「変わらない」と答えた者の割合は20歳代で,それぞれ高くなっている。(図5,表5)
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「関心が高くなった」と答えた者の割合は女性で,「変わらない」と答えた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「関心が高くなった」と答えた者の割合は50歳代で,「変わらない」と答えた者の割合は20歳代で,それぞれ高くなっている。(図5,表5)
(2) 大地震が起こった場合に心配なこと
大地震が起こった場合,どのようなことが心配か聞いたところ,「火災の発生」を挙げた者の割合が66.0%と最も高く,以下,「建物の倒壊」(60.0%),「電気,水道,ガスの供給停止」(52.2%),「食料や飲料水の確保が困難になること」(46.6%)などの順となっている。(複数回答)
前回の調査結果と比較して見ると,「建物の倒壊」(55.9%→60.0%),「食料や飲料水の確保が困難になること」(42.5%→46.6%)を挙げた者の割合が上昇し,「電気,水道,ガスの供給停止」(56.8%→52.2%)を挙げた者の割合が低下している。(図6)
都市規模別に見ると,「火災の発生」,「建物の倒壊」,「電気,水道,ガスの供給停止」,「食料や飲料水の確保が困難になること」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「火災の発生」,「電気,水道,ガスの供給停止」,「食料や飲料水の確保が困難になること」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「火災の発生」,「建物の倒壊」を挙げた者の割合は30歳代,40歳代で,「電気,水道,ガスの供給停止」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,「食料や飲料水の確保が困難になること」を挙げた者の割合は20歳代から40歳代で,それぞれ高くなっている。(表6)
前回の調査結果と比較して見ると,「建物の倒壊」(55.9%→60.0%),「食料や飲料水の確保が困難になること」(42.5%→46.6%)を挙げた者の割合が上昇し,「電気,水道,ガスの供給停止」(56.8%→52.2%)を挙げた者の割合が低下している。(図6)
都市規模別に見ると,「火災の発生」,「建物の倒壊」,「電気,水道,ガスの供給停止」,「食料や飲料水の確保が困難になること」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「火災の発生」,「電気,水道,ガスの供給停止」,「食料や飲料水の確保が困難になること」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「火災の発生」,「建物の倒壊」を挙げた者の割合は30歳代,40歳代で,「電気,水道,ガスの供給停止」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,「食料や飲料水の確保が困難になること」を挙げた者の割合は20歳代から40歳代で,それぞれ高くなっている。(表6)
(3) 大地震に備えてとっている対策
大地震が起こった場合に備えて,家庭でどのような対策をとっているか聞いたところ,「携帯ラジオ,懐中電灯,医薬品などを準備している」を挙げた者の割合が46.6%と最も高く,以下,「消火器や水をはったバケツを準備している」(22.3%),「貴重品などをすぐ持ち出せるように準備している」(21.2%),「いつも風呂の水をためおきしている」(19.9%),「食料や飲料水を準備している」(18.6%),「近くの学校や公園など避難する場所を決めている」(16.7%),「家具や冷蔵庫などを固定し,転倒を防止している」(14.8%),「家族との連絡方法などを決めている」(12.8%)などの順となっている。
なお,「特に何もしていない」と答えた者の割合が31.0%となっている。(複数回答)
平成11年6月の調査結果と比較して見ると,「携帯ラジオ,懐中電灯,医薬品などを準備している」(50.2%→46.6%),「近くの学校や公園など避難する場所を決めている」(21.4%→16.7%)を挙げた者の割合が低下している。(図7)
都市規模別に見ると,「携帯ラジオ,懐中電灯,医薬品などを準備している」,「貴重品などをすぐ持ち出せるように準備している」,「近くの学校や公園など避難する場所を決めている」,「家具や冷蔵庫などを固定し,転倒を防止している」,「家族との連絡方法などを決めている」を挙げた者の割合は大都市で,「食料や飲料水を準備している」を挙げた者の割合は大都市,中都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「消火器や水をはったバケツを準備している」を挙げた者の割合は男性で,「貴重品などをすぐ持ち出せるように準備している」,「いつも風呂の水をためおきしている」,「近くの学校や公園など避難する場所を決めている」を挙げた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「携帯ラジオ,懐中電灯,医薬品などを準備している」,「消火器や水をはったバケツを準備している」,「いつも風呂の水をためおきしている」を挙げた者の割合は50歳代,60歳代で,「貴重品などをすぐ持ち出せるように準備している」を挙げた者の割合は50歳代で,「食料や飲料水を準備している」,「家具や冷蔵庫などを固定し,転倒を防止している」を挙げた者の割合は60歳代で,「家族との連絡方法などを決めている」を挙げた者の割合は40歳代で,それぞれ高くなっている。(表7)
なお,「特に何もしていない」と答えた者の割合が31.0%となっている。(複数回答)
平成11年6月の調査結果と比較して見ると,「携帯ラジオ,懐中電灯,医薬品などを準備している」(50.2%→46.6%),「近くの学校や公園など避難する場所を決めている」(21.4%→16.7%)を挙げた者の割合が低下している。(図7)
都市規模別に見ると,「携帯ラジオ,懐中電灯,医薬品などを準備している」,「貴重品などをすぐ持ち出せるように準備している」,「近くの学校や公園など避難する場所を決めている」,「家具や冷蔵庫などを固定し,転倒を防止している」,「家族との連絡方法などを決めている」を挙げた者の割合は大都市で,「食料や飲料水を準備している」を挙げた者の割合は大都市,中都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「消火器や水をはったバケツを準備している」を挙げた者の割合は男性で,「貴重品などをすぐ持ち出せるように準備している」,「いつも風呂の水をためおきしている」,「近くの学校や公園など避難する場所を決めている」を挙げた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「携帯ラジオ,懐中電灯,医薬品などを準備している」,「消火器や水をはったバケツを準備している」,「いつも風呂の水をためおきしている」を挙げた者の割合は50歳代,60歳代で,「貴重品などをすぐ持ち出せるように準備している」を挙げた者の割合は50歳代で,「食料や飲料水を準備している」,「家具や冷蔵庫などを固定し,転倒を防止している」を挙げた者の割合は60歳代で,「家族との連絡方法などを決めている」を挙げた者の割合は40歳代で,それぞれ高くなっている。(表7)
(4) 地震保険や建物更正共済等の周知度
地震による住宅の被害に備えるための地震保険や建物更正共済等を知っているか聞いたところ,「知っている」と答えた者の割合が81.4%,「知らない」と答えた者の割合が18.6%となっている。
都市規模別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は町村で,「知らない」と答えた者の割合は中都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
年齢別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は40歳代から60歳代で,「知らない」と答えた者の割合は20歳代,70歳以上で,それぞれ高くなっている。(図8,表8)
都市規模別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は町村で,「知らない」と答えた者の割合は中都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
年齢別に見ると,「知っている」と答えた者の割合は40歳代から60歳代で,「知らない」と答えた者の割合は20歳代,70歳以上で,それぞれ高くなっている。(図8,表8)
(5) 地震保険や建物更正共済等による補償
建物は地震保険や建物更正共済等によって補償されているか聞いたところ,「補償されている」と答えた者の割合が32.7%,「補償されていない」と答えた者の割合が46.2%となっている。
なお,「わからない」と答えた者の割合が21.1%となっている。
都市規模別に見ると,「補償されている」と答えた者の割合は町村で高くなっている。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
年齢別に見ると,「補償されている」と答えた者の割合は40歳代,50歳代で,「補償されていない」と答えた者の割合は50歳代,60歳代で,それぞれ高くなっている。(図9,表9)
なお,「わからない」と答えた者の割合が21.1%となっている。
都市規模別に見ると,「補償されている」と答えた者の割合は町村で高くなっている。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
年齢別に見ると,「補償されている」と答えた者の割合は40歳代,50歳代で,「補償されていない」と答えた者の割合は50歳代,60歳代で,それぞれ高くなっている。(図9,表9)
(6) 大地震に対する住宅の危険度
住まいは,阪神・淡路大震災のような大地震に対しても大丈夫だ(倒壊や損傷をしない)と思うか聞いたところ,「大丈夫だと思う」とする者の割合が35.7%(「大丈夫だと思う」8.8%+「たぶん大丈夫だと思う」26.9%),「危ないと思う」とする者の割合が57.7%(「少し危ないと思う」25.9%+「危ないと思う」31.8%)となっている。
都市規模別に見ると,「大丈夫だと思う」とする者の割合は町村で高くなっている。
性別に見ると,「大丈夫だと思う」とする者の割合は男性で,「危ないと思う」とする者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「大丈夫だと思う」とする者の割合は70歳以上で,「危ないと思う」とする者の割合は20歳代で,それぞれ高くなっている。(図10,表10)
都市規模別に見ると,「大丈夫だと思う」とする者の割合は町村で高くなっている。
性別に見ると,「大丈夫だと思う」とする者の割合は男性で,「危ないと思う」とする者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「大丈夫だと思う」とする者の割合は70歳以上で,「危ないと思う」とする者の割合は20歳代で,それぞれ高くなっている。(図10,表10)
(7) 住宅の耐震化の希望
住まいが地震に強い住宅になることを希望するか聞いたところ,「希望する」とする者の割合が69.2%(「希望する」43.1%+「どちらかといえば希望する」26.1%),「希望しない」とする者の割合が17.2%(「どちらかといえば希望しない」8.9%+「希望しない」8.3%)となっている。
なお,「どちらともいえない」と答えた者の割合が11.4%となっている。
都市規模別に見ると,「希望する」とする者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「希望する」とする者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「希望する」とする者の割合は40歳代で高くなっている。(図11,表11)
なお,「どちらともいえない」と答えた者の割合が11.4%となっている。
都市規模別に見ると,「希望する」とする者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「希望する」とする者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「希望する」とする者の割合は40歳代で高くなっている。(図11,表11)
ア 住宅の耐震化の方法
「希望する」とする者(1,491人)に希望を実現するとした場合,どのような方法が考えられるか聞いたところ,「現在の住宅の耐震補強工事を行う」を挙げた者の割合が50.1%と最も高く,以下,「地震に強い住宅を建築又は購入する」(20.6%),「現在の住宅の所有者に耐震補強工事の実施を要請する」(13.2%)などの順となっている。
なお,「わからない」と答えた者の割合が12.7%となっている。(複数回答,図12)
都市規模別に見ると,「現在の住宅の耐震補強工事を行う」を挙げた者の割合は小都市,町村で,「現在の住宅の所有者に耐震補強工事の実施を要請する」を挙げた者の割合は大都市で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「現在の住宅の耐震補強工事を行う」,「地震に強い住宅を建築又は購入する」を挙げた者の割合は40歳代で,「現在の住宅の所有者に耐震補強工事の実施を要請する」を挙げた者の割合は20歳代,30歳代で,それぞれ高くなっている。(表12)
なお,「わからない」と答えた者の割合が12.7%となっている。(複数回答,図12)
都市規模別に見ると,「現在の住宅の耐震補強工事を行う」を挙げた者の割合は小都市,町村で,「現在の住宅の所有者に耐震補強工事の実施を要請する」を挙げた者の割合は大都市で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「現在の住宅の耐震補強工事を行う」,「地震に強い住宅を建築又は購入する」を挙げた者の割合は40歳代で,「現在の住宅の所有者に耐震補強工事の実施を要請する」を挙げた者の割合は20歳代,30歳代で,それぞれ高くなっている。(表12)
イ 住宅の耐震化を希望しない理由
「希望しない」とする者(370人)に希望しない理由は何か聞いたところ,「地震に強い住宅に住んでいると思うから」を挙げた者の割合が38.9%と最も高く,以下,「地震が起こってもそれほど危険ではないと思うから」(21.9%),「お金がないから」(20.0%),「賃貸住宅のため自分で決めることができないから」(10.5%)などの順となっている。(複数回答,図13)
性別に見ると,「お金がないから」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。(表13)
性別に見ると,「お金がないから」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。(表13)
(8) 学校や社会福祉施設,医療機関など公共的施設の大地震に対する安全性の問題
ア 改善を行う場合の行政の補助等の必要性
学校や社会福祉施設,医療機関などの公共的施設の約半数程度は,大地震に対して安全でない可能性があるとの国の行政機関による調査結果が公表されているが,民間等のこれらの施設の改善を行うとした場合,行政の補助等が必要だと思うか聞いたところ,「行政の補助等が必要」と答えた者の割合が79.7%,「所有者がすべて行うべき」と答えた者の割合が9.7%となっている。
なお,「わからない」と答えた者の割合が10.6%となっている。
性別に見ると,「所有者がすべて行うべき」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「行政の補助等が必要」と答えた者の割合は30歳代,40歳代で高くなっている。(図14,表14)
なお,「わからない」と答えた者の割合が10.6%となっている。
性別に見ると,「所有者がすべて行うべき」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「行政の補助等が必要」と答えた者の割合は30歳代,40歳代で高くなっている。(図14,表14)
(ア)改善を行う場合の行政の補助等のあり方
「行政の補助等が必要」と答えた者(1,718人)にこれらの施設の改善に当たっての行政の補助等のあり方についてどう思うか聞いたところ,「行政が作成する整備計画に基づき補助等を行う」と答えた者の割合が62.7%,「所有者の申請に基づき補助等を行う」と答えた者の割合が28.8%となっている。
年齢別に見ると,「行政が作成する整備計画に基づき補助等を行う」と答えた者の割合は50歳代で高くなっている。(図15,表15)
年齢別に見ると,「行政が作成する整備計画に基づき補助等を行う」と答えた者の割合は50歳代で高くなっている。(図15,表15)
イ 安全性についての情報公開
学校や社会福祉施設,医療機関などの公共的施設の個々の施設について,行政が安全かどうかについての情報を一般に公開すべきだと思うか聞いたところ,「公開すべきであると思う」とする者の割合が90.5%(「公開すべきであると思う」73.5%+「どちらかといえば公開すべきであると思う」16.9%),「公開すべきであるとは思わない」とする者の割合が2.8%(「どちらかといえば公開すべきであるとは思わない」1.6%+「公開すべきであるとは思わない」1.2%)となっている。(図16,表16)
都市規模別に見ると,「公開すべきであると思う」とする者の割合は大都市で高くなっている。
都市規模別に見ると,「公開すべきであると思う」とする者の割合は大都市で高くなっている。
(9) 地震災害時の事前対応と事後対応
地震対策には,事前対応としての避難や防災活動のための広い道路や公園の整備,住宅やビルの補強(耐震化)などの災害予防対策と,事後対応としての災害時の消防,救助活動などの災害応急対策や被災施設の復旧,被災者の生活再建支援などの災害復旧対策とがあるが,どちらに力を入れるべきだと思うか聞いたところ,「事前対応に力をいれるべきだと思う」とする者の割合が42.6%(「事前対応としての災害予防対策に力をいれるべきだと思う」31.1%+「どちらかというと事前対応としての災害予防対策に力をいれるべきだと思う」11.5%),「事前対応と事後対応の両方同じように力を入れるべきだと思う」と答えた者の割合が36.6%,「事後対応に力をいれるべきだと思う」とする者の割合が16.8%(「どちらかというと事後対応としての災害応急対策や災害復旧対策に力をいれるべきだと思う」9.3%+「事後対応としての災害応急対策や災害復旧対策に力をいれるべきだと思う」7.5%)となっている。
性別に見ると,「事後対応に力をいれるべきだと思う」とする者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「事前対応に力をいれるべきだと思う」とする者の割合は60歳代で,「事前対応と事後対応の両方同じように力を入れるべきだと思う」と答えた者の割合は30歳代で,「事後対応に力をいれるべきだと思う」とする者の割合は40歳代で,それぞれ高くなっている。(図17,表17)
性別に見ると,「事後対応に力をいれるべきだと思う」とする者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「事前対応に力をいれるべきだと思う」とする者の割合は60歳代で,「事前対応と事後対応の両方同じように力を入れるべきだと思う」と答えた者の割合は30歳代で,「事後対応に力をいれるべきだと思う」とする者の割合は40歳代で,それぞれ高くなっている。(図17,表17)
目次 | 戻る | 次へ