2 調査結果の概要
- 自然公園に関する意識について
(1) 自然公園が果たす役割
自然公園とは,国立公園,国定公園,都道府県立自然公園をいうが,これらの自然公園が果たすべき役割はどのようなものだと思うか聞いたところ,「自然とふれあう場」を挙げた者の割合が57.6%と最も高く,以下,「国や地域を代表する優れた自然を後世に残す場」(32.4%),「野生生物の生息地」(31.9%),「休息の場」(27.4%)などの順となっている。(2つまでの複数回答)
前回の調査結果と比較して見ると,「野生生物の生息地」(27.3%→31.9%)を挙げた者の割合が上昇している。(図7)
都市規模別に見ると,「自然とふれあう場」を挙げた者の割合は大都市で,「野生生物の生息地」を挙げた者の割合は小都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「休息の場」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「野生生物の生息地」を挙げた者の割合は30歳代,40歳代で高くなっている。(表7)(2) 自然公園で受けたいサービス
自然とのふれあいを深めたり自然を理解するために,今後自然公園でどのようなサービスを受けたいと思うか聞いたところ,「自然とふれあう場や施設,行事などに関する情報の提供」を挙げた者の割合が30.2%,「自然の中に滞在し,遊びなどの活動を通して自然を体験する機会の提供」を挙げた者の割合が29.3%と高く,以下,「自然についての解説書やパンフレットなどの提供」(20.0%),「自然観察会や探鳥会,自然歩道を歩く会などの行事の開催」(17.8%),「地域の自然やそこに根ざした伝統的文化などを学習する機会の提供」(16.2%),「初めての高山や、個人では行きにくい自然の奥深くまで専門のガイドが安全に案内し解説などをしてくれる旅行の企画実施」(15.3%),「自然保護のためのボランティア活動を行う機会の提供」(13.4%)などの順となっている。なお,「特にない」と答えた者の割合が18.3%となっている。(複数回答)
前回の調査結果と比較して見ると,「自然の中に滞在し,遊びなどの活動を通して自然を体験する機会の提供」(24.9%→29.3%),「自然観察会や探鳥会,自然歩道を歩く会などの行事の開催」(12.6%→17.8%),「地域の自然やそこに根ざした伝統的文化などを学習する機会の提供」(13.8%→16.2%),「自然保護のためのボランティア活動を行う機会の提供」(9.4%→13.4%)を挙げた者の割合が上昇している。(図8)
都市規模別に見ると,「自然観察会や探鳥会,自然歩道を歩く会などの行事の開催」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
年齢別に見ると,「自然とふれあう場や施設,行事などに関する情報の提供」を挙げた者の割合は30歳代で,「自然の中に滞在し,遊びなどの活動を通して自然を体験する機会の提供」を挙げた者の割合は20歳代から40歳代で,「自然観察会や探鳥会,自然歩道を歩く会などの行事の開催」を挙げた者の割合は50歳代で,「初めての高山や、個人では行きにくい自然の奥深くまで専門のガイドが安全に案内し解説などをしてくれる旅行の企画実施」を挙げた者の割合は20歳代で,それぞれ高くなっている。(表8)ア サービスを提供するための費用の負担
受けたいサービスを挙げた者(1,646人)に,このようなサービスを提供するための費用は誰が負担するべきだと思うか聞いたところ,「国や地方公共団体がすべて負担する」と答えた者の割合が29.0%,「国や地方公共団体が一部負担した上で,サービスを受ける人が参加料などの形で負担する」と答えた者の割合が58.2%,「サービスを受ける人が参加料などの形ですべて負担する」と答えた者の割合が11.7%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,大きな変化は見られない。
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「サービスを受ける人が参加料などの形ですべて負担する」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「国や地方公共団体が一部負担した上で,サービスを受ける人が参加料などの形で負担する」と答えた者の割合は30歳代で高くなっている。(図9,表9)(3) 自然公園内に整備して欲しい施設
自然公園内の施設について,整備してほしいものは何か聞いたところ,「公衆トイレ」を挙げた者の割合が53.0%と最も高く,以下,「登山道や自然歩道などの施設」(27.3%),「事故を防止するための施設」(25.4%),「標識や案内板」(24.5%),「高山植物や湿原の保護,修復などを行う施設」(21.8%),「快適な宿泊・休憩施設」(21.3%),「自然のようすや楽しみ方を案内してくれる施設」(21.1%),「野生生物を観察できるような施設」(20.4%)などの順となっている。(複数回答)
前回の調査結果と比較して見ると,「事故を防止するための施設」(22.7%→25.4%),「高山植物や湿原の保護,修復などを行う施設」(16.3%→21.8%)を挙げた者の割合が上昇し,「公衆トイレ」(56.3%→53.0%),「標識や案内板」(30.3%→24.5%),「快適な宿泊・休憩施設」(24.6%→21.3%)を挙げた者の割合が低下している。(図10)
都市規模別に見ると,「公衆トイレ」,「事故を防止するための施設」,「標識や案内板」,「高山植物や湿原の保護,修復などを行う施設」,「快適な宿泊・休憩施設」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「公衆トイレ」,「事故を防止するための施設」,「自然のようすや楽しみ方を案内してくれる施設」を挙げた者の割合は女性で,「標識や案内板」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。(表10)(4) 自然公園の過剰利用対策
近年,自然公園を訪れる人が夏や休日などの一時期に集中するため,植物が踏みあらされたり,混雑により自然を快適に楽しめないなどの問題が生じているが,このような問題に対して,どのような対策をとる必要があると思うか聞いたところ,「自然公園の利用者に対して,自然の中で守るべきマナーの教育を徹底する」を挙げた者の割合が53.8%と最も高く,以下,「車は使わず徒歩のみでの利用にするなど,自然に悪影響を及ぼすおそれのある利用の仕方を禁止する」(43.0%),「自然を休めるために,一定期間,一切の入場を禁止する」(25.2%),「自然公園への入場料を徴収し,その費用で,過剰な利用により被害を受けた自然の修復などを行う」(22.0%)などの順となっている。(2つまでの複数回答,図11)
前回の調査結果と比較して見ると,大きな変化は見られない。
都市規模別に見ると,「自然公園への入場料を徴収し,その費用で,過剰な利用により被害を受けた自然の修復などを行う」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
年齢別に見ると,「自然公園の利用者に対して,自然の中で守るべきマナーの教育を徹底する」を挙げた者の割合は50歳代で,「自然を休めるために,一定期間,一切の入場を禁止する」を挙げた者の割合は30歳代で,それぞれ高くなっている。(表11)(5) 自然保護か観光開発か
自然公園内に自動車道路やホテル,スキー場などの観光施設をつくることは,利用者が便利になる反面,自然環境を損なうことも考えられるが,自然保護と観光開発との関係について,どのように考えるか聞いたところ,「自然を守るためには,これ以上観光開発をしない」と答えた者の割合が56.8%,「ある程度の観光開発も図る」と答えた者の割合が36.8%,「自然保護よりも観光開発を図る」と答えた者の割合が1.5%となっている。
前回の調査と比較して見ると,「自然を守るためには,これ以上観光開発をしない」(53.0%→56.8%)と答えた者の割合が上昇している。
年齢別に見ると,「自然を守るためには,これ以上観光開発をしない」と答えた者の割合は50歳代で,「ある程度の観光開発も図る」と答えた者の割合は20歳代で,それぞれ高くなっている。(図12,表12)ア これ以上観光開発をすべきでない理由
「自然を守るためには,これ以上観光開発をしない」と答えた者(1,177人)に,そのように思うのは,どのような理由からか聞いたところ,「美しい風景を守るため」を挙げた者の割合が77.0%と最も高く,以下,「動植物を守るため」(62.3%),「観光開発をする必要がないため」(17.9%),「災害を防止するため」(17.4%)の順となっている。(2つまでの複数回答)
前回の調査結果と比較して見ると,「美しい風景を守るため」(73.5%→77.0%)を挙げた者の割合が上昇している。(図13)
都市規模別に見ると,「動植物を守るため」を挙げた者の割合は中都市で,「観光開発をする必要がないため」を挙げた者の割合は大都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,大きな差異は見られない。(表13)
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