2 調査結果の概要
- 規制緩和後の市場における公正な競争の確保に関する意識
(1) 規制緩和による競争への影響 実際に,規制の緩和によって新たな企業がマーケットに参入してくるなど企業間の競争が盛んになっていると考えるか聞いたところ,「盛んになっていると考える」とする者の割合が63.9%(「盛んになっていると考える」28.2%+「どちらかというと盛んになっていると考える」35.7%),「盛んになっていないと考える」とする者の割合が19.2%(「どちらかというと盛んになっていないと考える」14.4%+「盛んになっていないと考える」4.8%)となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合が16.9%となっている。
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「盛んになっていると考える」,「盛んになっていないと考える」とする者の割合は男性で高くなっている。
性・年齢別に見ると,「盛んになっていると考える」とする者の割合は男性の30歳代,50歳代で,「盛んになっていないと考える」とする者の割合は男性の40歳代で,それぞれ高くなっている。(図13,表12)ア 盛んになっている理由 「盛んになっていると考える」とする者(1,343人)に競争が盛んになっていると考える理由は何か聞いたところ,「商品やサービスの値段が安くなっているから」を挙げた者の割合が75.8%と最も高く,以下,「色々な種類の新しい商品やサービスが出てきているから」(53.8%),「商品やサービスの品質が良くなっているから」(41.2%),「失業が増えたり,一方で新規の雇用が発生するなど雇用環境が変化しているから」(36.1%)などの順となっている。(複数回答,図14)
都市規模別に見ると,「失業が増えたり,一方で新規の雇用が発生するなど雇用環境が変化しているから」を挙げた者の割合は中都市で高くなっている。
性別に見ると,「商品やサービスの品質が良くなっているから」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「色々な種類の新しい商品やサービスが出てきているから」を挙げた者の割合は30歳代で,「失業が増えたり,一方で新規の雇用が発生するなど雇用環境が変化しているから」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,それぞれ高くなっている。(表13)イ 盛んになっていない原因 「盛んになっていないと考える」とする者(403人)に競争が盛んになっていないのはどのような原因によると考えるか聞いたところ,「今まで規制に守られていた企業の力が強く,新規に参入してきた企業は対等に競争できないから」を挙げた者の割合が53.3%,「日本の経済社会には談合体質が残っているから」を挙げた者の割合が46.4%と高く,以下,「新規に参入してきた企業はその分野において知名度が低く,なかなか消費者に受け入れてもらえないから」(36.7%),「国の規制がなくなっても民間企業同士の自主的な規制やルールがあって,新規に参入した企業などが自由に競争できないから」(35.2%),「規制緩和後の公正な競争のルール作りなどの行政の取組が不十分だから」(31.0%)などの順となっている。(複数回答,図15)
性別に見ると,「日本の経済社会には談合体質が残っているから」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。(表14)(2) 商品選択の確かな目の有無 規制緩和が進むと,国民一人一人が自分の責任でもって,確かな目で商品やサービス等の選択を行うことがますます重要になると思われるが,自分自身で商品やサービスの選択の確かな目を持っていると思うか聞いたところ,「持っていると思う」とする者の割合が53.2%(「持っていると思う」14.4%+「どちらかというと持っていると思う」38.8%),「持っていないと思う」とする者の割合が41.6%(「どちらかというと持っていないと思う」28.0%+「持っていないと思う」13.7%)となっている。
性別に見ると,大きな差異は見られない。(図16)
職業別に見ると,「持っていると思う」とする者の割合は管理・専門技術・事務職,主婦で,「持っていないと思う」とする者の割合はその他の無職で,それぞれ高くなっている。(表15)(3) 不当表示の監視・取締りの重要性 国民一人一人が適切な商品やサービスの選択を行うことができるよう,行政がおおげさな広告やまぎらわしい広告(不当表示)を取り締まることについて,どのように考えるか聞いたところ,「重要である」とする者の割合が92.5%(「非常に重要である」51.3%+「ある程度重要である」41.2%),「重要ではない」とする者の割合が4.9%(「あまり重要ではない」4.5%+「全く重要ではない」0.4%)となっている。
性・年齢別に見ると,「重要である」とする者の割合は男性の50歳代及び女性の40歳代で高くなっている。(図17,表16)(4) 取締りが必要な企業活動 規制緩和により競争が盛んになってきている分野において,不当な手段を使ってはならないといった最低限の競争のルールを守らせるために,企業によるどのような活動を行政は監視・取り締まるべきだと思うか聞いたところ,「おおげさな広告やまぎらわしい広告」を挙げた者の割合が56.4%と最も高く,以下,「下請企業等の中小企業に対する不当なしわ寄せ」(51.6%),「競争相手に対する不当な妨害」(47.7%),「取引上有利な地位にあることを利用して,取引相手に対して不当な要求をすること」(40.6%),「過大な景品の提供」(28.3%)の順となっている。(図18)
都市規模別に見ると,「おおげさな広告やまぎらわしい広告」を挙げた者の割合は大都市で,「下請企業等の中小企業に対する不当なしわ寄せ」,「競争相手に対する不当な妨害」,「取引上有利な地位にあることを利用して,取引相手に対して不当な要求をすること」を挙げた者の割合は中都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「下請企業等の中小企業に対する不当なしわ寄せ」,「競争相手に対する不当な妨害」,「取引上有利な地位にあることを利用して,取引相手に対して不当な要求をすること」を挙げた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
性・年齢別に見ると,「おおげさな広告やまぎらわしい広告」を挙げた者の割合は女性の30歳代,40歳代で,「下請企業等の中小企業に対する不当なしわ寄せ」を挙げた者の割合は男性の30歳代から50歳代で,「競争相手に対する不当な妨害」を挙げた者の割合は男性の20歳代から40歳代で,「取引上有利な地位にあることを利用して,取引相手に対して不当な要求をすること」を挙げた者の割合は男性の30歳代から50歳代及び女性の40歳代で,「過大な景品の提供」を挙げた者の割合は男性の60歳代で,それぞれ高くなっている。
職業別に見ると,「下請企業等の中小企業に対する不当なしわ寄せ」,「競争相手に対する不当な妨害」,「取引上有利な地位にあることを利用して,取引相手に対して不当な要求をすること」を挙げた者の割合は管理・専門技術・事務職で高くなっている。(表17)
目次 | 戻る | 次へ