2 調査結果の概要
- 単純労働者問題について
(1) 単純労働者の入国への考え方
我が国では就労を目的とする外国人の入国のうち,専門的な技術,技能や知識を持っている人を認め,単純労働については認めていないが,このような政策についてどう考えるか聞いたところ,「単純労働者の就労は認めない現在の方針を続ける」と答えた者の割合が21.2%,「単純労働者であっても一定の条件や制限をつけて就労を認める」と答えた者の割合が51.4%,「特に条件をつけずに日本人と同じように就労を認める」と答えた者の割合が16.3%となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合は11.0%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「単純労働者の就労は認めない現在の方針を続ける」(14.1%→21.2%)と答えた者の割合が上昇し,「単純労働者であっても一定の条件や制限をつけて就労を認める」(56.5%→51.4%)と答えた者の割合は低下している。
都市規模別に見ると,「単純労働者の就労は認めない現在の方針を続ける」と答えた者の割合は町村で,「単純労働者であっても一定の条件や制限をつけて就労を認める」と答えた者の割合は大都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「特に条件をつけずに日本人と同じように就労を認める」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「単純労働者の就労は認めない現在の方針を続ける」と答えた者の割合は60歳代,70歳以上で,「単純労働者であっても一定の条件や制限をつけて就労を認める」と答えた者の割合は30歳代,40歳代で,「特に条件をつけずに日本人と同じように就労を認める」と答えた者の割合は,20歳代,30歳代で,それぞれ高くなっている。(図9)
職業別に見ると,「単純労働者の就労は認めない現在の方針を続ける」と答えた者の割合はその他の無職で,「単純労働者であっても一定の条件や制限をつけて就労を認める」と答えた者の割合は管理・専門技術・事務職で,「特に条件をつけずに日本人と同じように就労を認める」と答えた者の割合は,労務職で,それぞれ高くなっている。(表9)ア 単純労働者の就労を認めない理由
単純労働者の入国について,「単純労働者の就労は認めない現在の方針を続ける」と答えた者(439人)に,その理由を聞いたところ,「治安が悪化するおそれがある」を挙げた者の割合が62.9%,「景気がいい時はともかく,不況の時には日本人の失業が増加するおそれがある」を挙げた者の割合が59.0%と高く,以下,「地域社会の中でトラブルが多くなるおそれがある」(45.1%),「日本人が就きたがらない仕事に,単に外国人が就けばいいという考えはよくない」(26.0%)などの順になっている。(複数回答,図10)
前回の調査結果と比較して見ると,「治安が悪化するおそれがある」(54.0%→62.9%),「地域社会の中でトラブルが多くなるおそれがある」(38.7%→45.1%)を挙げた者の割合が上昇している。
性別に見ると,大きな差異は見られない。(表10)イ 単純労働者の入国や就労を認める条件
単純労働者の入国について,「単純労働者であっても一定の条件や制限をつけて就労を認める」と答えた者(1,063人)に,その条件を聞いたところ,「期間に制限をつけ,それ以上の滞在は認めない」を挙げた者の割合が46.3%と最も高く,以下,「教育や社会保障,住宅建設など受入れに伴うコストは,誰が負担するか明確にする」(30.4%),「国や地方自治体など責任ある機関のみが雇うことができるようにする」(25.2%),「本人に限って滞在を認め,家族の呼び寄せは認めない」(17.1%)などの順となっている。(複数回答,図11)
前回の調査結果と比較して見ると,「本人に限って滞在を認め,家族の呼び寄せは認めない」(20.1%→17.1%)を挙げた者の割合が低下している。
性別に見ると,「期間に制限をつけ,それ以上の滞在は認めない」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「国や地方自治体など責任ある機関のみが雇うことができるようにする」を挙げた者の割合は30歳代で高くなっている。
職業別に見ると,「教育や社会保障,住宅建設など受入れに伴うコストは,誰が負担するか明確にする」を挙げた者の割合は管理・専門技術・事務職で高くなっている。(表11)ウ 受け入れる期間
単純労働者の入国について,「単純労働者であっても一定の条件や制限をつけて就労を認める」と答えた者で,「期間に制限をつけ,それ以上の滞在は認めない」を挙げた者(492人)に受け入れる期間はどのくらいが適当だと思うか聞いたところ,「6か月以内」と答えた者の割合が11.2%,「6か月を超えて1年以内」と答えた者の割合が31.5%,「1年を超えて2年以内」27.6%,「2年を超えて3年以内」と答えた者の割合が14.0%,「3年を超える期間」と答えた者の割合が3.5%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「6か月以内」(7.3%→11.2%)と答えた者の割合が上昇している。(図12,表12)エ 条件をつけずに就労を認める理由
単純労働者の入国について,「特に条件をつけずに日本人と同じように就労を認める」と答えた者(338人)に,その理由を聞いたところ,「経済的に苦しい状態にある人たちを助けることになるから」を挙げた者の割合が54.4%と最も高く,以下,「日本の国際化に役立つから」(30.2%),「開発途上国への経済協力につながることだから」(27.2%),「日本企業の労働力不足を解消できるから」(24.0%)の順となっている。(複数回答,図13)
前回の調査結果と比較して見ると,「日本の国際化に役立つから」(21.9%→30.2%)を挙げた者の割合が上昇し, 「日本企業の労働力不足を解消できるから」(47.5%→24.0%)を挙げた者の割合が低下している。
性別に見ると,「経済的に苦しい状態にある人たちを助けることになるから」を挙げた者の割合は女性で,「日本の国際化に役立つから」,「開発途上国への経済協力につながることだから」を挙げた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。(表13)(2) 単純労働者の社会的費用負担
仮に外国人の単純労働者を受け入れるとした場合,教育や社会保障,住宅建設等に係る費用は誰が負担すべきだと思うか聞いたところ,「国や地方公共団体で負担する」と答えた者の割合が18.5%,「産業界全体で負担する」と答えた者の割合が11.2%,「外国人労働者を雇い入れる事業主が負担する」と答えた者の割合が41.5%,「外国人労働者自身が負担する」と答えた者の割合が19.9%となっている。
都市規模別に見ると,「産業界全体で負担する」と答えた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「国や地方公共団体で負担する」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「国や地方公共団体で負担する」と答えた者の割合は50歳代で高くなっている。(図14)
職業別に見ると,「国や地方公共団体で負担する」,「産業界全体で負担する」と答えた者の割合は管理・専門技術・事務職で高くなっている。(表14)(3) 日本人が就きたがらない職業への就労
日本人が就きたがらない職業に外国の人が就くことについてどう思うか聞いたところ,「日本人が就きたがらない仕事に,単に外国人が就けばいいという考えはよくない」と答えた者の割合が31.2%,「よくないことだがやむをえない」と答えた者の割合が30.7%,「本人が就きたがっている場合にはどんどん就いてもらうのがよい」と答えた者の割合が33.9%となっている。
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
年齢別に見ると,「本人が就きたがっている場合にはどんどん就いてもらうのがよい」と答えた者の割合は20歳代,30歳代で,それぞれ高くなっている。(図15)
職業別に見ると,「日本人が就きたがらない仕事に,単に外国人が就けばいいという考えはよくない」と答えた者の割合は管理・専門技術・事務職で,「本人が就きたがっている場合にはどんどん就いてもらうのがよい」と答えた者の割合は労務職で,それぞれ高くなっている。(表15,参考表2)(4) 単純労働者の家族の呼び寄せと永住
仮に外国人の単純労働者を受け入れるとした場合,その人達が家族を呼び寄せて日本に永住したいという希望をもつことについてどう考えるか聞いたところ,「家族を呼び寄せて日本に永住することを認めてもよい」と答えた者の割合が26.2%,「日本への永住は認めるべきではないが,家族と同居する形で一定期間の滞在は認めてもよい」と答えた者の割合が33.8%,「あくまで本人の一定期間の滞在のみを認めるべきだ」と答えた者の割合が30.7%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「家族を呼び寄せて日本に永住することを認めてもよい」(18.6%→26.2%)と答えた者の割合が上昇し,「あくまで本人の一定期間の滞在のみを認めるべきだ」(36.5%→30.7%)と答えた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,「あくまで本人の一定期間の滞在のみを認めるべきだ」と答えた者の割合は小都市で高くなっている。
性別に見ると,「家族を呼び寄せて日本に永住することを認めてもよい」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「家族を呼び寄せて日本に永住することを認めてもよい」と答えた者の割合は20歳代で,「日本への永住は認めるべきではないが,家族と同居する形で一定期間の滞在は認めてもよい」と答えた者の割合は40歳代で,「あくまで本人の一定期間の滞在のみを認めるべきだ」と答えた者の割合は60歳代で,それぞれ高くなっている。(図16)
職業別に見ると,「あくまで本人の一定期間の滞在のみを認めるべきだ」と答えた者の割合は主婦で高くなっている。(表16)
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