2 調査結果の概要
- 不法就労者問題に関する意識について
(1) 不法就労への認識
観光客として入国した外国の人がホステス,土木作業員,工員などとして働き収入を得る人が多くいますが,このことについてどう思うか聞いたところ,「良くないことだ」と答えた者の割合は49.2%,「良くないがやむを得ない」と答えた者の割合は40.4%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「良くないことだ」(32.1%→49.2%)と答えた者の割合が上昇し,「良くないがやむを得ない」(55.0%→40.4%)と答えた者の割合は低下している。
都市規模別に見ると,「良くないことだ」と答えた者の割合は大都市で,「良くないがやむを得ない」と答えた者の割合は小都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,大きな差異は見られない。
年齢別に見ると,「良くないことだ」と答えた者の割合は60歳代で,「良くないがやむを得ない」と答えた者の割合は20歳代で,それぞれ高くなっている。(図4)
職業別に見ると,「良くないことだ」と答えた者の割合は管理・専門技術・事務職で高くなっている。
外国人労働者問題への関心との関連で見ると,「良くないことだ」と答えた者の割合は「関心がある」と答えた者で高くなっている。(表4)ア 不法就労が良くないと思う理由
不法就労が「良くないことだ」と答えた者(1,018人)に良くないと思う理由を聞いたところ,「日本の法令に違反するから」を挙げた者の割合が56.1%,「治安,風紀等が悪くなるから」を挙げた者の割合が52.4%と高く,以下,「売春等で外国人自身の人権が侵害されるから」(26.9%),「日本人の失業者が増えるから」(21.7%)などの順となっている。(2つまでの複数回答,図5)
都市規模別に見ると,「日本の法令に違反するから」を挙げた者の割合は小都市で,「日本人の失業者が増えるから」を挙げた者の割合は町村で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「日本の法令に違反するから」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「日本の法令に違反するから」を挙げた者の割合は40歳代で,「治安,風紀等が悪くなるから」を挙げた者の割合は60歳代で,「売春等で外国人自身の人権が侵害されるから」を挙げた者の割合は20歳代,30歳代で,「日本人の失業者が増えるから」を挙げた者の割合は60歳代,70歳以上で,それぞれ高くなっている。
職業別に見ると,「日本の法令に違反するから」を挙げた者の割合は自営業主で,「売春等で外国人自身の人権が侵害されるから」を挙げた者の割合は労務職で,「日本人の失業者が増えるから」を挙げた者の割合はその他の無職で,それぞれ高くなっている。(表5,参考表1)イ 不法就労がやむを得ないと思う理由
不法就労が「良くないがやむを得ない」と答えた者(837人)にやむを得ないと思う理由を聞いたところ,「その人が得た金で家族が暮らしていけるから」を挙げた者の割合が55.7%と最も高く,以下,「その人が納得して働いているのだから」(39.7%),「高収入を求めて日本に来るのは当然だから」(29.4%),「日本企業の労働力不足を解消してくれるから」(24.5%)などの順となっている。(2つまでの複数回答,図6)
前回の調査結果と比較して見ると,「その人が得た金で家族が暮らしていけるから」(50.8%→55.7%),「その人が納得して働いているのだから」(29.5%→39.7%)を挙げた者の割合が上昇し,「日本企業の労働力不足を解消してくれるから」(47.9%→24.5%)を挙げた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「高収入を求めて日本に来るのは当然だから」,「日本企業の労働力不足を解消してくれるから」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「その人が得た金で家族が暮らしていけるから」を挙げた者の割合は20歳代で高くなっている。
職業別に見ると,「高収入を求めて日本に来るのは当然だから」,「日本企業の労働力不足を解消してくれるから」を挙げた者の割合は自営業主で高くなっている。(表6)(2) 不法就労者への対応
不法就労者に対して,どのようにしたらよいと思うか聞いたところ,「法令に違反している以上,法令で定められた手続によりすべて強制送還する」と答えた者の割合が49.6%,「暴力団関係,売春,その他悪質な場合だけ重点的に取り締まる」と答えた者の割合が35.0%,「労働力が不足している分野では取り締まらないでそのままにする」と答えた者の割合が5.7%となっている。
前回の調査結果と比較して見ると,「法令に違反している以上,法令で定められた手続によりすべて強制送還する」(33.6%→49.6%)と答えた者の割合が上昇し,「暴力団関係,売春,その他悪質な場合だけ重点的に取り締まる」(40.6%→35.0%)と答えた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「法令に違反している以上,法令で定められた手続によりすべて強制送還する」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「法令に違反している以上,法令で定められた手続によりすべて強制送還する」と答えた者の割合は60歳代で,「暴力団関係,売春,その他悪質な場合だけ重点的に取り締まる」と答えた者の割合20歳代,30歳代で,それぞれ高くなっている。(図7)
職業別に見ると,「暴力団関係,売春,その他悪質な場合だけ重点的に取り締まる」と答えた者の割合は労務職で高くなっている。(表7)(3) 不法滞在者へのアムネスティ政策の考え方
不法滞在者に対し,既に安定的に長期滞在しているなど一定の要件のもとに合法的な滞在資格を付与するという考え方についてどう思うか聞いたところ,「付与したほうがよい」と答えた者の割合が17.0%,「付与しないほうがよい」と答えた者の割合が22.1%,「一概に言えない」と答えた者の割合が49.2%となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合は11.7%となっている。
年齢別に見ると,「付与したほうがよい」と答えた者の割合は40歳代で,「付与しないほうがよい」と答えた者の割合は60歳代で,「一概に言えない」と答えた者の割合は20歳代,30歳代で,それぞれ高くなっている。(図8)
職業別に見ると,「付与したほうがよい」と答えた者の割合は自営業主で,「一概に言えない」と答えた者の割合は管理・専門技術・事務職で高くなっている。
不法就労への認識との関連で見ると,「付与したほうがよい」,「一概に言えない」と答えた者の割合は「良くないがやむを得ない」と答えた者で,「付与しないほうがよい」と答えた者の割合は「良くないことだ」と答えた者で,それぞれ高くなっている。(表8)
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